エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

2012-01-01から1年間の記事一覧

脳よりも心が広いことについて

無事に年賀状書きを終える。思い切ってプリンターを買い換えたので随分楽になった。 アンディ・クラークの「現れる存在」を読む。現れる存在―脳と身体と世界の再統合作者: アンディ・クラーク,池上高志,森本元太郎出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: …

カラビ=ヤウ多様体が唯一の解である

日垣英語塾13日め。大変だがいいシステムだと感心する。やはりシステムは大事。 ヤウ/ネイディスの「見えざる宇宙のかたち」を読む。見えざる宇宙のかたち――ひも理論に秘められた次元の幾何学作者: シン=トゥン・ヤウ,スティーヴ・ネイディス,水谷淳出版社…

再帰、言葉、無限、部分と全体

朝早くから仕事をはじめ、気分転換に裏の公園の小道をとっつきまで行って戻ってくる。どんぐりが落ちている。 竹中均の「精神分析と自閉症」を読む。精神分析と自閉症 フロイトからヴィトゲンシュタインへ (講談社選書メチエ)作者: 竹中均出版社/メーカー: …

Gordon Shepherd

New Orleans8日目。一日日付を間違えていた。 午後はGordon Shepherdがorganizeしたminisymposiumを聞きに行った。 異常に若かったので驚いたが、"Synaptic Organizaiton of the Brain"の Gordonとは別人だとわかってほっとする。息子か? それにしても嗅球…

Really amazing

New Orleans5日目。今日も暑い。 圧倒的なlectureを2つ聞いてしまったので、飲みに行く気が失せて、まじめに学会のメモを整理し直す。 今年のGruber記念メダルはUCSFのJan先生夫妻で、記念講演も圧倒的だったが(ものを知らないのはこわいもので、Jan先生…

パンダエクスプレスのセットが8ドル

New Orleans4日目今日からいよいよSfN。今年は何人集まるのか知れないが、すでに相当ごったがえしている。 午前中は川べりのfood coat & shopping centerを冷やかす。ハーゲンダッツのコーヒーフラッペが 7ドル(?)。パンダエクスプレスのセットが8ドル…

カフェ・デュ・モン

New Orleans 3日め日米脳セミナーが終わり、SfNが始まるまで一日の中休み。 フレンチクオーターをぶらぶらする。川辺でコンサートをやっていて 非常に格好のよい若手のブルース歌手の歌に感心する。 3時のおやつでカフェ・デュ・モンに行く。 前回来たとき…

クラッチモデルの話

New Orleans3日目。カトリーナで運河のこことここが切れてこのあたりは数フィートまで水につかったとシャトルのドライバーに聞かされても「本当かよ」と思うような平和な景色である。会場は避難者でごったがえしていた大きなセンターだが、遠目には相変わら…

意味、暴力、神

秋らしい一日で日差しが透明。 村上靖彦の「レヴィナス 壊れものとしての人間」を読む。【現代思想の現在】レヴィナス ---壊れものとしての人間 (河出ブックス)作者: 村上靖彦出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/11メディア: 単行本購入: 1人 ク…

統計屋としての静かなプライド

明日から神戸での学会だが、午後には台風が来るとニュースで言っている。 デイヴィッド・サルツブルグの「統計学を拓いた異才たち」を読む。統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀作者: デイヴィッドサルツブルグ,David S. Salsburg,竹内惠…

戦後史の正体

あまりの暑さで折角買ってきたほおづきが赤くなる前に萎れてしまっている。 孫崎亨の「戦後史の正体」を読む。戦後史の正体 (「戦後再発見」双書1)作者: 孫崎享出版社/メーカー: 創元社発売日: 2012/07/24メディア: 単行本購入: 31人 クリック: 410回この商…

意識する心

金曜日に新橋で古い友人に会っていろいろな話をした。変わらない友達というのはいいものである。 デイヴィッド・チャーマーズの「意識する心」を読む。意識する心―脳と精神の根本理論を求めて作者: デイヴィッド・J.チャーマーズ,David J. Chalmers,林一出版…

内在的論理とストーリーテリング

近くの書店で夏休みの準備に厚めの本を数冊買ってきた。ついでにモカ・バニー・マタルも仕入れる。 佐藤優の「人間の叡智」を読む。人間の叡智 (文春新書 869)作者: 佐藤優出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/07/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 59…

情理を尽くして語る

内々定祝いで近くの中華料理屋で会食。それにしても暑い。 内田樹の「街場の文体論」を読む。内田樹の「書くこと」についての最終講義。共感することしきり。 「情理を尽くして語る。僕はこの『情理を尽くして』という態度が読み手に対する敬意の表現であり…

歩哨的資質、死ぬ言葉

火曜日には娘の試験も終わるので、ほおずき市に行こうと思う。内田樹の「街場の読書論」を読む。街場の読書論作者: 内田樹出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2012/04/12メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 21回この商品を含むブログ (43件) を見る「司法や…

コンピュータは自身で進化することができるのか

娘の古文と漢文の受験参考書選びに付き合う。ぱらぱらと見て、何だか随分様変わりしたという感じがする。もっとも大学の生協に並んでいる数学や物理の専門書も随分変わってきたので、今さら驚くことではないのだろう。 田中久美子の「記号と再帰」を読む。記…

何の花か香る

雨の一日、何の花か香る。今週、こころに残った言葉。「私は日本がよくなってほしいと願っています。だから終戦直後の原点に戻って、まずは問題を単純化してはどうでしょうか。その上で優先すべきものを決める。再び成功するとは限りませんが少なくとも見苦…

主客の一致という謎

入梅。隣の家も前の家もあじさいの盛り。北鎌倉のあじさい寺が懐かしい。 竹田青嗣の「完全解読フッサール『現象学の理念』」を読む。完全解読 フッサール『現象学の理念』 (講談社選書メチエ)作者: 竹田青嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/03/09メデ…

果てしなき探究

昨日は研究室でバーベキューをしてたくさん食べた。晩御飯が食べられなかった。天気も頃合いで運がよかった。 カール・ポパーの「果てしなき探究」を読む。果てしなき探求〈上〉―知的自伝 (岩波現代文庫)作者: カール・R・ポパー,森博出版社/メーカー: 岩波…

合理性と合理的な批判を擁護するために

金曜日、仕事を早めに終えて、国立劇場へ文楽を観に行く。傾城反魂香、艶容女舞衣、壇浦兜軍記。住太夫さんはお元気だったし、吉田蓑助のお園は想像以上に良かった。初夏の夜の爽やかな空気。 カール・ポパーの「フレームワークの神話」を読む。フレームワー…

ソウルダスト

水がないとは不便なもので、昨日は危うく風呂に入り損ねるところだった。 ニコラス・ハンフリーの「ソウルダスト」を読む。ソウルダスト――〈意識〉という魅惑の幻想作者: ニコラス・ハンフリー,柴田裕之出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2012/04/27メデ…

経路積分から出発する

庭のクレマチスが大輪の花を咲かせている。木々の若葉も伸びてきて、5月も半ばだと感じる。 吉田伸夫の「明快量子重力理論入門」を読む。明解量子重力理論入門 (KS物理専門書)作者: 吉田伸夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/07/26メディア: 単行本(ソ…

移行期的乱世の思考

GWなので、家族で神保町にでかけて三省堂本店を上から下まで歩く。子供達を「とんき」に連れていく。上の子がご飯がおいしいといって喜んだ。 平山克美の「移行期的乱世の思考」を読む。移行期的乱世の思考作者: 平川克美出版社/メーカー: PHP研究所発売日: …

祝福すること

朝は空気がひんやりして気持ちがよかったので、久しぶりに1時間ほど散歩をしてきた。 内田樹の「呪いの時代」を読む。呪いの時代作者: 内田樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/11メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 79回この商品を含むブログ (75件) …

列島融解

研究所へと続く道の左手の花水木(たぶん)が花をつけている。裏手の枝垂桜も満開。ただし今日は花曇にしても肌寒い。 濱嘉之の「列島融解」を読む。列島融解作者: 濱嘉之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/03/16メディア: 単行本 クリック: 1回この商品…

悪と徳と岸信介と未完の日本

桜の花びらの舞う光景をはじめてきれいだと思ったのは高一の春だった記憶がある。 福田和也の「悪と徳と岸信介と未完の日本」を読む。悪と徳と 岸信介と未完の日本作者: 福田和也出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2012/04/07メディア: 単行本 クリック: 8回こ…

池澤夏樹の共鳴

久しぶりに出町柳の駅で降りる。鴨川べりの桜はまだ3、4分咲きほど。風が少し冷たい。 池澤夏樹の「氷山の南」を読む。氷山の南作者: 池澤夏樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (25…

オートファジーの謎

朝、思い立って湯島天神にでかける。季節がらか、9時過ぎというのに親子連れの参拝客が沢山いた。 水島昇の「オートファジーの謎」を読む。細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)作者: 水島 昇出版社/メーカー: PHP研究所発…

暴力をいかに制御するか

昨日の朝、車を出そうとしたときに、今年初めての鶯の声を聞いた。玄関の前の沈丁花の花がほころんでいる。 佐藤優の「国家論」を読む。国家論 日本社会をどう強化するか (NHKブックス)作者: 佐藤優出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2007/12/21メディア: 単…

ファインマンさんの流儀

1年は早いもので、先週の金曜日がラボの送別会だった。昨年は会の直前に大地震があり、キャンセルせざるを得なかったので、ともかくも今年は無事にできただけありがたい。 ローレンス・クラウスの「ファインマンさんの流儀」を読む。ファインマンさんの流儀―…