エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

研究者の仕事術

火曜日にIさんのところでシグナル伝達と形態変化の話をする。後半はSさんに最近のデータを話してもらっていろいろアドバイスをもらう。いわく、もう少し空間情報を考えた解析も試してみたらいいのでは。いわく、これはどうも一度非線型多変量解析を試してみ…

衆院選の21世紀と数学の20世紀

衆院選の結果が出て、民主党が308議席を獲得して圧勝。私は民主支持だが、ここまでの大勝がいいことなのかと不安もある。ただ、政権運営に慣れてない民主党がそれなりにやっていくためには、この数が力にあるとも考えられるので、いいことかもしれない。…

堀井憲一郎は山口瞳である

堀井憲一郎の「落語論」を読む。落語論 (講談社現代新書)作者: 堀井憲一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/07/17メディア: 新書購入: 3人 クリック: 21回この商品を含むブログ (52件) を見る「情報考学」で激賞されていたので、どうしても読みたくなっ…

英雄ではないダーウィンについて

さすがに朝方は涼しくなってきて、6時前に新聞を取りに玄関のドアを開けて出て行くと、肩をひんやりと風が抜ける。 デズモンドとムーアの「ダーウィンが信じた道」を読む。ダーウィンが信じた道―進化論に隠されたメッセージ作者: エイドリアン・デズモンド,…

権力は腐敗する。絶対権力は絶対的に腐敗する

昨日は昼過ぎから、統合失調症の分子メカニズムの権威AS先生のセミナーを聞きに行ってきた。2000年のAS先生によるDISC1の発見は「統合失調症のような心の病についに分子生物学が手をかけられるようになった」という驚きをもって受け止められた。AS先生のセミ…

Accepted causality can be accepted?"

本郷の寿司屋に穴子を食べに行く話が、いつの間にか工学部でのワークショップということになって、powerpoint作りにねじを巻くことになった。"Morphodynamics and signal processing in a cell"。これは完全にサイドワークなので、M.Y.先生のようにひたすら…

光の場、電子の海

Iさんとの会話。 「ブライアン・グリーンの本にエントロピーは未来に向かっても増大するけど、物理法則は時間反転について対称だから、過去に向かっても増大するって書いてあったんだけど、それってほんと?」 「うん、本当だ」 「なんで?」 「それは、現在…

歴史改変SF&70年代風のハードボイルド

SF

今日は台風のせいか何とも蒸すなあと思いながら仕事をしていたが、帰ってニュースを見たら兵庫や岡山で大変なことになっている。そういえば暑さを実感するまもなく立秋になってしまった。 マイケル・シェイボンの「ユダヤ警官同盟」を読む。ユダヤ警官同盟〈…

アット・ザ・ヘルム

おとといの晩に学生時代からの友人Iさんと百万遍で3軒はしごして1時過ぎまで飲んだ。Iさんは私達の世代を代表する物理学者の一人で計算機物理学の世界ではトップエリートさんだ。その彼が生ビールで乾杯するやいなや「いや実は今、生命とは何かを考えてい…

revisited

木曜日に聞いたMoo Ming Pooのレクチャーがずっと頭の中で残響を繰り返している。Moo Ming Pooは部地理畑出身の神経科学者で、「セカンドメッセンジャーのレベル変化による成長円錐ガイダンスの反転」「spike-timing dependent plasticity」など多くの追随者…