エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

皇帝の新しい心

私が勤務している研究科には副指導教員制度というものがある。いわゆる指導教官とは別に、2人の教員が面談して学生さんの状況を確認し、情報を共有する。まあ不調の早期発見のためのカウンセリングだと思っている。今日は博士1年の学生さんの面談を1時間…

雨の日のぐるりのこと。

四条へ橋口亮輔監督の「ぐるりのこと。」を観にいく。木村多江の初主演作ということで、単に彼女の演技を観にいったのだが、予想外にいい作品だった。何より脚本がしっかりしているし、木村多江の熱演にリリー・フランキーが自然体の演技でうまく合わせてい…

幻子論

ジンギスカンは義経だったという本がある。明治天皇はひそかに暗殺されすりかえられていたという本がある。いわゆるトンデモ本である。もちろん物理の世界にもあるし、神経科学の世界にもある。個人的には好きである。Anything goesだと思うから。熊野宗治の…

立ち現われ一元論者の見たロボットと意識

今週は良く働いたのでごほうびに午前中は休む。ソファで横になって大森荘蔵を読む。「物と心」大森荘蔵著作集〈第4巻〉 物と心作者: 大森荘蔵出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/03/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件)…

柳田先生のトーク

昨日、今日と研究科のシンポジウムがあった。シンポジウムのとりは、理系プログ界の大物、柳田充弘先生だ。唖然とした。いつまでたってもマンガばかりで(概論ばかりで)生データがでてこない。結局15分のトークで生データのあったスライドは1枚だけ。さ…

最後の授業

今日は泌尿器科の診察。尿管結石だったのか、膀胱がんなのかが分かる日。もろもろ考えてがんの可能性は実際にはほとんどないとわかってはいても、夕方の診察時間が近づくにつれ、何とも言い表しがたい気分になる。診察室に入って、担当医の緊張感のない表情…

ビジネス書もそれなりにいいものだ

今日は梅雨の中休み。自転車で高野川べりを走ると風が気持ちよい。ビジネス書は全く守備範囲外だったが、たまたま勝間和代の本を読んだら面白くて、新刊も買ってしまった。「ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレー…

ひれくれ者だが正しい

ポール・ファイヤアーベントの自伝を読む。哲学、女、唄、そして…―ファイヤアーベント自伝作者: ポールファイヤアーベント,Paul Feyerabend,村上陽一郎出版社/メーカー: 産業図書発売日: 1997/01メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (16件)…

物理学の30年の停滞

夏至も過ぎ、梅雨らしい雨の続く時節になった。雨降りは内省を誘う。「迷走する物理学」を書いたリー・スモーリンは私が最も愛好する物理学者である。迷走する物理学作者:リー スモーリン武田ランダムハウスジャパンAmazonこの本で、スモーリンは、物理学の…

谷村美月と京都

昔から演技上手といわれる女優が好きである。最初にいいなと思ったのは清水美砂。最近だと上野樹里。「ガラスの仮面」シンドロームとでもいったらいいのか。同病の方には、恩田陸の「チョコレートコスモス」を強くお勧めする。チョコレートコスモス作者: 恩…

玉村豊男は最後の頼みの綱

今日の午後はイメージングの授業。1時間半の予定が1時間15分で終わってしまったが、4コマめにも関わらず、結構集中して聞いてもらえて、いい授業をしたという充実感があった。今年度はこの後、秋に3時間話せば授業は終わり。大学院はteaching dutyが少…

迷惑な進化

先週の造影検査の結果を近くの病院に聞きに行く。どうも右側の尿管の出口近くが何らかの原因で詰まっていらのは確からしい。今は全く痛みはないし、今日の尿には血液は検出されなかったということで、結局、結石があって出てしまったんでしょう、というのが…

分からないのだが面白い

この季節はわりと好きだ。気力が充実している。充実しているので、前から気になっていた大著に挑んだ。ロジャー・ペンローズの「心の影」。あの「皇帝の新しい心」の続編だ。心の影〈1〉意識をめぐる未知の科学を探る作者: ロジャーペンローズ,Roger Penrose…

現代科学論の名著

クーンの「科学革命の構造」は流行に流されて読んだことはあるが、基本的には科学哲学は科学者になれなかった人がやるものと単純に思い込んでおり、いわゆる科学論を読んでこなかった。だが最近少し気が変わった。少し前に読んだファイヤアーベントの「方法…

多数決での多世界解釈

大学生協で面白そうな本を探していたら、この本が平積みになっていた。即購入。量子力学の解釈問題―実験が示唆する「多世界」の実在 (ブルーバックス)作者: コリン・ブルース,和田純夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/05/21メディア: 新書購入: 6人 ク…

発癌メカニズム revisited

一週間後に講義の予定が入っている。癌遺伝子によるシグナル伝達をイメージングで捉える技法を説明する医・工連携の講義である。前振りに癌についての概論をしたいのでいろいろ資料を集めていると、立花隆がイチオシのブルーバックスがあるというので、早速…

言葉の根幹は沈黙だそうだ

今週に入ってからどうも右の背中が痛い。4年ぶりの尿管結石の疑いあり。昨日、近くの病院の泌尿器科に行ったら、エコーでは見えなかったが、尿に少し出血が見られるということで、今日、造影剤を点滴して、レントゲン検査をした。やはり人間40歳を過ぎる…

時間と意識

茂木健一郎の「思考の補助線」を読んだ。思考の補助線 (ちくま新書)作者: 茂木健一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/02/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 250回この商品を含むブログ (105件) を見る茂木健一郎氏とは多少の縁がある。私が卒業し…

時間はどこで生まれるのか

日曜の夜、下の子を連れて近くの疎水に蛍を見にいった。最初行った橋の片側では見つからなかったので「こりゃまだ早いのかも」とあきらめそうになったが、人が結構出ていたので、いるはずだと思い直し、橋の反対側を歩いていくと、いたいた。ふわりと飛んで…

ロシアにあって日本にないもの

「カラマーゾフの兄弟」の新訳で知られる亀山郁夫と「国家の罠」「自壊する帝国」の佐藤優の対談「ロシア 闇と魂の国家」を読む。ロシア闇と魂の国家 (文春新書 623)作者: 亀山郁夫,佐藤優出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/04/17メディア: 新書購入: 6…

conscious artifact

昨日整体に行って1時間ほどしっかりもんでもらったおかげで随分楽になった。今までは海外出張すると調子が戻るのに時間がかかっていたが、今回はお陰で早めにいつものペースに戻せそうな感じだ。1週間出張している間に季節が進んで、あじさいも咲き始めた…

モントレーから帰る

カリフォルニア・モントレーで開かれたISDN2008(国際神経発生学会)に参加してきた。太平洋岸に広がったコテージ群に囲まれた会議場に缶詰状態の4日間だった。参加者は300人ほどなので、適度にいろいろな人と話ができて4日間快適に過ごせた。神経発生…