エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

2008-01-01から1年間の記事一覧

「マイナス」×「マイナス」がなぜ「プラス」になるか

学生時代には自分は数学ができると思っていた。しかしそれから二十年近くたって、仕事の必要上、シミュレーションや数理モデル作りをするために改めて数理科学に向き合うとどうもぴんとこない。どうも自分が得意だったのでは実験数学で、「数学感覚」とは遠…

はじめて知る仏教

整体に行った帰りにわき道に入ると、刈った稲を干している田んぼがあった。この前通った時はまだ稲刈り前だったので、季節は着実に進んでいるわけだ。そろそろ来年の手帳や日記も売っているし。2008年もあと2月半だが、まだまだいろいろありそうだし、個人…

死生観を問いなおす

宮崎哲弥推薦の広井良典「死生観を問いなおす」を読む。死生観を問いなおす (ちくま新書)作者: 広井良典出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2001/11/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 52回この商品を含むブログ (15件) を見る時間についての考察を導きの…

金融危機と世間知

この1週間の株価暴落は歴史に残るのだろう、と思いながら8時からのNHKスペシャルを見はじめた。わが家のささやかな資産も今回の金融危機で1/4がどこかに行ってしまった。わが家の資産管理は私がやっているので、「状況はつかんでおかんとな」という気持で…

確率的発想法

小島寛之の「確率的発想法」を読む。確率的発想法~数学を日常に活かす作者: 小島寛之出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2004/02/29メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 60人 クリック: 218回この商品を含むブログ (88件) を見る美味しいところがいろいろあ…

GFPの沁みる話

柳田充弘先生のブログは当然のように愛読していますが、今日のブログは沁みました。 ノーベル化学賞がGFPに与えられた陰で、GFPの遺伝子をとってきた人物はバスの運転手をしているそうです。 http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=95545761…

大学院の講義

今日の午後は大学院の講義。軸索ガイダンスについての概説といくつかのトピックを話した後、ここ数年やってきた神経突起進展のシグナル伝達の解析とモデルについて説明する。2コマ(3時間)の使い方がわかっていなかったので、前半を熱を入れてゆっくり語…

崖っぷち弱小大学物語

杉山幸丸の「崖っぷち弱小大学物語」を読む。崖っぷち弱小大学物語 (中公新書ラクレ)作者: 杉山幸丸出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2004/10メディア: 新書購入: 5人 クリック: 47回この商品を含むブログ (25件) を見る杉山幸丸は元京大霊長類研究所の…

私のマルクス

佐藤優の「私のマルクス」を読む。私のマルクス作者: 佐藤優出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/12メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 59回この商品を含むブログ (60件) を見る鈴木宗男事件がらみで外務省のラスプーチンという異称をもらい逮捕され、…

生きづらさの中で

佐野眞一「甘粕正彦 乱心の広野」を読む。甘粕正彦 乱心の曠野作者: 佐野眞一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/05メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 49回この商品を含むブログ (50件) を見る満州の夜と霧 第2部。 人間はこんな生きづらい状況の中で…

井筒俊彦と禅

井筒俊彦の「意識と本質」を読む。意識と本質―精神的東洋を索めて (岩波文庫)作者: 井筒俊彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/08/08メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 101回この商品を含むブログ (75件) を見る東洋思想を誰よりも広い視座で理解して…

確率やら推定やら

2、3日前のNHKのニュースで機長がとった寒冷圏の映像を見た。地表がむき出しになってグリーンランドを見た時はさすがに唖然とした。個人的には地球温暖化には懐疑的な気持を持っている。マスコミが出してくる典型的な映像には、後でたいてい裏があるという…

出星前夜

連休は本屋にいったり散歩をしたりでゆっくり過ごした。昨日四条河原町のジュンク堂で買ってきた本はこの三冊。 「出星前夜」飯嶋和一 「坊主のぼやき」川西蘭 「フリーランチの時代」小川一水出星前夜作者: 飯嶋和一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/08…

数学基礎論論争

大学へ行く道に萩の花で知られる小さな寺があり、いまが盛りだ。通りかかるといいものをみたと少しいい気持になる。佐々木力の「二十世紀数学思想」を読む。二十世紀数学思想作者: 佐々木力出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2001/04メディア: 単行本購入:…

カオスの紡ぐ夢の中で

明日からCERNのLarge Hadron Colliderがようやく稼動するというニュースが夕刊に出ていた。ぶつける粒子のエネルギーの上限が一挙に7倍になるとかで何か面白そうなことが出てきそうである。5千億円の費用は安いのか高いのか?一番高い戦闘機が100億円だそ…

The End of Time

Julian Barbourの"The End of Time"を読む。The End of Time: The Next Revolution in Physics作者: Julian Barbour出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2001/11/29メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見るこの本の存在はリー・スモ…

Iさんの来訪

このブログを書くきっかけになったT大学のIさんが京都にやってきた。最初は本当に京都で呑んで帰るだけの予定だったが、急遽内輪でセミナーをやってもらうことになる。生命科学の研究室で計算機物理学の第一人者に何を話してもらうか考えたが、本人が一番話…

ゆらぐ脳

月・火・水と神戸ポートピアホテルでゲノム特定研究の班会議にでかけた。発表5分、討論2分の顔見世興行なのだが、発表時間が短いほどうまい下手はよくわかる。3日で200人ほどは聞いたろうが、特に驚く話はなかった。発表会場外でのおしゃべりの方が楽…

BOKUDENとフラット革命

朝から整体に行って小1時間もみほぐしてもらう。2週間に1回ひたすら気持のいい時間を持つのはそれだけでも精神衛生上いいことだ。すっかりリラックスして自転車で帰ってきた。昨日、近くのTSUTAYAにDVDを返しにいったついでに1階の本屋をぶらぶらしてい…

比叡山の霧

今日は処暑だそうだが、確かにここ数日はクーラーを使わずに眠れる程度に温度が下がってきた。雲もちぎれ雲だ。今日の雨でも比叡山から大文字山にかけて霧が立ち込めていたが、そういうことにも秋を感じる。池内了の「物理学と神」を読む。物理学と神 (集英…

時間のパラドックス

朝の天気図を見て秋だなと思っていたら、確かに今日は少し凌ぎやすかった。M社との共同研究でYさんとAさんがやってきて、午前中はそればかりで過ごしてしまった。Yさんは最近転職してM社に来たばかりだそうだ。景気が後退局面に入ったので、一時上向いた転職…

大文字焼きと満州

昨晩は大文字焼きだった。近くの小学校の3階が見物のために開放されている。大文字焼きは、大、妙法、鳥居型、舟型、左大文字だが、小学校からは妙法がかぶりつきで見える。8時になるとまず大の字に火がともる。少し離れて見ると、これが送り火であること…

人類の祖先集団の実態

夏休み3日め。昨日家族が帰省したので、圧倒的に暇である。Olympicを見たり、高校野球を見たり、本を読んだり。ニコラス・ウェイドの「5万年前」を読む。5万年前―このとき人類の壮大な旅が始まった作者: ニコラスウェイド,安田喜憲,Nicholas Wade,沼尻由起…

数学幻視行

昨日の晩は、家族で「竹くらべ」に和食を食べに行った。狙いは鱧である。 http://www.takekurabe.com/4000円のコースを1人前頼んで、後は単品を追加。 はものたたきはさすがに美味しい。鳥のから揚げのポン酢付けは、黒酢が爽やかで子供たちも喜んで食…

理研BSI訪問

月曜火曜と東京に出張。4時くらいになると京都よりは随分涼しくて動きやすい。月曜日は和光市の理研BSIに先輩のO先生を訪ねた。今いっしょに仕事をしている学生さんは脳をやりたいとは思っているが、脳の何をやりたいのかイメージできないと言う。そういう…

叛逆としての科学

昨日はN大のS先生のグループと共同研究の打ち合わせ。こちらは実験でむこうが理論なので。話がかみ合うまでにいつも時間がかかる。これが同じ大学にいてもっと日常的に議論ができれば、もっとスムースに進むのだろうが。ネット時代なのだからもう少し工夫を…

野口悠起雄の正論

今日は家内と子供たちが生協食堂に昼ごはんを食べにきた。七大学(旧帝大)対抗戦記念の大学パフェが目当てである。今日は名古屋大パフェと九州大パフェ(各340円)がメニューに出ていた。名古屋大パフェは外郎とアンパンとキャラメルコーンが入っていた…

無限と時間と脳

今日も3時過ぎにたたきつけるような雨が降った。夕立の涼しさとはいかないのはどういう具合によるのだろう。ブログを散策している途中で小島寛之の名前を知り、著書の「数学迷宮」を読む。数学迷宮―メタファーの花園に咲いた一輪のあじさいとしての数学作者…

仏教の基礎は心理学にある

鈴木大拙の「無心ということ」を読む。無心ということ (角川ソフィア文庫)作者: 鈴木大拙出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2007/09/22メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見るデカルト流に心と物をわけてしまうという…

脳のデザイン

庭の朝顔が薄紅色と水色の花をつけている。今年も良く咲いた。篠本滋の「脳のデザイン」を読む。脳のデザイン作者: 篠本滋出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1996/03/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る篠本滋は京…