エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

社会

希望という言葉が背負える力

新型コロナウイルス感染症流行のはじまりのころに、小澤征爾が指揮するサイトウ・キネンオーケストラのマタイ受難曲をたまたま聴いた。名曲という話は耳にするが自分には縁のない曲だと思っていた。でも気がついたら2時間弱の演奏を一気に聴ききっていた。こ…

来るべきもの

なかなか晴れ間が見えてこないまま、そろそろお昼になる。 ロビン・ハンソンの「全脳エミュレーションの時代」を読む。 全脳エミュレーションの時代 作者: ロビン・ハンソン,小坂恵理 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 人工知能は長らく理系の…

社会システム

今日書かれるブログの8割は、東北大震災から7年がたったことについてどこかに書いてあるだろう。私の場合、2011.3.11は、たまたま学生室で打ち合わせをしていたので難を逃れたが、居室にあった天井まであるスチールの本棚が私の机に倒れていて、部屋に戻っ…

AI研究にルールを作れるか

スポーツクラブへの行き帰りの道のさるすべりは片側はまだそれなりに花をつけているが、空はすっかり様子が変わった。 ジェイムズ・バラットの「人工知能 人類最悪にして最後の発明」を読む。人工知能 人類最悪にして最後の発明作者: ジェイムズ・バラット,…

錨の役割を果たしたい

スポーツクラブへの行き帰りの道にさるすべりの赤い花が咲いている。今日はそろそろ散り始めで赤い小山が続いている。 サテル&リリエンフェルドの「その脳科学にご用心」を読む。その〈脳科学〉にご用心: 脳画像で心はわかるのか作者: サリーサテル,スコッ…

いままで以上に世界の一部になるということ

土井珈琲からグァテマラ・イエローブルボンという小ロットの豆を買って飲んだら美味しくて、二杯も三杯も飲んでしまう。苦味がなくて味に膨らみがある。これでもう少し甘味があると本当に完璧。 ニコラス・カーの「オートメーション・バカ」を読む。オートメ…

世襲型資本主義と世界的な資本税

居室の収納スペースが足りなくなったので、IKEAでビリー2本(80 cm x 202 cm)を買ってきて、家内、娘の3人で組み立てる。ついでに模様替えをしたら随分すっきりした感じになった。 トマ・ピケティの「21世紀の資本」を読む。21世紀の資本作者: トマ・ピケ…

未来予測をわらえ

研究室の大掃除と忘年会が終わり、今日の昼までに年賀状も済ませて、遅ればせながら新年を迎える気分に転換です。 久しぶりに小飼弾さんのブログを見たところ、新著(数学者の神永さんとの共著)の話が出ていた。checkしたら面白そうだったので注文したとこ…

それは祈りに似ている

この夏の温度の上がり下がりはいつもより極端な気がするが、気がするだけかもしれない。 気になっていたこの本を読む。 白井聡 「永続敗戦論」永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04)作者: 白井聡出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2013/03/08メディア…

ハワード・ジンの思い出

あっという間に立春で沈丁花のつぼみも随分と膨らんでいる。 ノーム・チョムスキーの「アメリカを占拠せよ」「すばらしきアメリカ帝国」を読む。アメリカを占拠せよ! (ちくま新書)作者: ノームチョムスキー,Noam Chomsky,松本剛史出版社/メーカー: 筑摩書房…

戦後史の正体

あまりの暑さで折角買ってきたほおづきが赤くなる前に萎れてしまっている。 孫崎亨の「戦後史の正体」を読む。戦後史の正体 (「戦後再発見」双書1)作者: 孫崎享出版社/メーカー: 創元社発売日: 2012/07/24メディア: 単行本購入: 31人 クリック: 410回この商…

内在的論理とストーリーテリング

近くの書店で夏休みの準備に厚めの本を数冊買ってきた。ついでにモカ・バニー・マタルも仕入れる。 佐藤優の「人間の叡智」を読む。人間の叡智 (文春新書 869)作者: 佐藤優出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/07/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 59…

情理を尽くして語る

内々定祝いで近くの中華料理屋で会食。それにしても暑い。 内田樹の「街場の文体論」を読む。内田樹の「書くこと」についての最終講義。共感することしきり。 「情理を尽くして語る。僕はこの『情理を尽くして』という態度が読み手に対する敬意の表現であり…

歩哨的資質、死ぬ言葉

火曜日には娘の試験も終わるので、ほおずき市に行こうと思う。内田樹の「街場の読書論」を読む。街場の読書論作者: 内田樹出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2012/04/12メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 21回この商品を含むブログ (43件) を見る「司法や…

移行期的乱世の思考

GWなので、家族で神保町にでかけて三省堂本店を上から下まで歩く。子供達を「とんき」に連れていく。上の子がご飯がおいしいといって喜んだ。 平山克美の「移行期的乱世の思考」を読む。移行期的乱世の思考作者: 平川克美出版社/メーカー: PHP研究所発売日: …

列島融解

研究所へと続く道の左手の花水木(たぶん)が花をつけている。裏手の枝垂桜も満開。ただし今日は花曇にしても肌寒い。 濱嘉之の「列島融解」を読む。列島融解作者: 濱嘉之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/03/16メディア: 単行本 クリック: 1回この商品…

暴力をいかに制御するか

昨日の朝、車を出そうとしたときに、今年初めての鶯の声を聞いた。玄関の前の沈丁花の花がほころんでいる。 佐藤優の「国家論」を読む。国家論 日本社会をどう強化するか (NHKブックス)作者: 佐藤優出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2007/12/21メディア: 単…

日本の文脈

庭の鉢の沈丁花のつぼみはまだ薄緑だが、少しずつ膨らんできている。送別会の予約も終わった。 内田樹と中沢新一の「日本の文脈」を読む。日本の文脈作者: 内田樹,中沢新一出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/01/31メディア…

責任という虚構

8日間の夏休みの3日目。昨日はずっと自宅で読書。 小坂井敏晶の「責任という虚構」を読む。責任という虚構作者: 小坂井敏晶出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2008/08/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 234回この商品を含むブログ (32件) を見…

惑星の思考

神楽坂で開かれた恩師の喜寿の会。毘沙門天をはじめて見た。 宮内勝典の「惑星の思考」を読む。惑星の思考―“9・11”以後を生きる作者: 宮内勝典出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/09/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (7…

経済成長神話の終わりは日本国の終わりかもしれないが、日本の終わりではない

昨夜は、人形町にでかけて、友達と地鶏を食べる。親子丼が普通においしい。品の良いぐい呑みをもらう。 平川克美の「移行期的混乱」を読む。移行期的混乱―経済成長神話の終わり作者: 平川克美出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/09/09メディア: 単行本購…

3つの原理

昨日が冬至で今日は年賀状書き。でも、今年のうちにやっておくことがまだ残っているので、冬休み気分にはなれそうもない。 ローレンス・トーブの「3つの原理」を読む。3つの原理―セックス・年齢・社会階層が未来を突き動かす作者: ローレンス・トーブ,神田…

知の巨人と知の怪物

愛読している「レジデント初期研修用資料」の「努力は報われないほうがいい」の記事を読んで考え込んでいる。 http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/558 「頑張った人が、「頑張り」に見合った承認を求めると、世代を重ねるごとに、「頑張り」のコスト…

チキントークなアメリカ

たぶんこのブログを読まれている方のかなりの割合は、Ryohei氏の有名なブログを見ておられるのですでにご存知かとも思いますが、多少は両者の守備範囲がずれているかもと思い、紹介させていただきます。http://www.youtube.com/watch?v=yL_-1d9OSdkこの連休…

Voltaire's Bastards

先週末にGoogleで家族のホームページを作った。友達のみ公開のクローズドだ。無料でもいろいろ技が使えてこつこつ工夫しているとなかなか楽しい。この調子でホームページ作成に慣れてhtmlを使えるようになるのが目標だ。昨日の晩は、中二の娘が書き込みの面…

すべて僕に任せてください

昨日、お昼過ぎに下の子と川べりの散歩に出たところ、出町柳の三角州のところで、子供達が裸足になって川遊びをしていた。もちろん、うちの子もすぐに裸足になって飛び込んで行った。待つこと1時間。とはいっても、こういうときのためにiPodを持ってきてい…

スタッズ・ターケル

桜が終わったと思っていたら、大学への行き帰りの道に花水木が咲いている。赤と白と交互に植えているので、自転車で走り抜けるといいリズムである。スタッズ・ターケルの「希望ー行動する人々」を読む。希望―行動する人々 (文春文庫)作者: スタッズターケル,…

医療崩壊

小松秀樹の「医療崩壊」を読む。医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か作者: 小松秀樹出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2006/05メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 180回この商品を含むブログ (147件) を見る研究室に脳外科から来ている超優秀医…

BOKUDENとフラット革命

朝から整体に行って小1時間もみほぐしてもらう。2週間に1回ひたすら気持のいい時間を持つのはそれだけでも精神衛生上いいことだ。すっかりリラックスして自転車で帰ってきた。昨日、近くのTSUTAYAにDVDを返しにいったついでに1階の本屋をぶらぶらしてい…

理研BSI訪問

月曜火曜と東京に出張。4時くらいになると京都よりは随分涼しくて動きやすい。月曜日は和光市の理研BSIに先輩のO先生を訪ねた。今いっしょに仕事をしている学生さんは脳をやりたいとは思っているが、脳の何をやりたいのかイメージできないと言う。そういう…