桜が終わったと思っていたら、大学への行き帰りの道に花水木が咲いている。赤と白と交互に植えているので、自転車で走り抜けるといいリズムである。
スタッズ・ターケルの「希望ー行動する人々」を読む。
- 作者: スタッズターケル,Studs Terkel,井上一馬
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/05
- メディア: 文庫
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柳田邦男によれば、スタッズ・ターケルはノンフィクション界では伝説的存在らしい。「特定のテーマについて、普通の人々にインタビューする」という手法を開発したのは彼らしい。そのスタッズ・ターケルが、さまざまなレベルのactivistsにインタビューしたのが、この「希望ー行動する人々」である。
最近は政治がかった人と個人的につきあうことはまずないので、日本のactivistsといってイメージするのはもう20年も前の学生時代のことだが、アメリカのactivistsの方が、日本のactivistsよりもはるかにたくましくて健康でうらやましく思った。日本のactivistsには、正直「病んでいる」という感想を持ってしまう。
ただ読後感は複雑で、アメリカのactivistsの健康さとうらはらなアメリカ社会の不健康さは相当なものだと思った。
「既に明らかになっている秘密のメモによれば、ペンタゴンは使用しやすいコンパクトな核兵器を開発したがっているようです。保守派はアメリカ帝国の建設を求めています。彼らはロール・モデルとして第二代ローマ皇帝のティベリウスを挙げています。いまや議会制民主主義に幕が降ろされようとしているのです」
「そこで彼らは、この改革の流れを押しとどめるために、ワシントンでの企業によろロビー活動を統合しようと、ビジネス・ラウンドテーブルを発足させました。前代未聞の事態です。彼らは自分達のための候補者を探し出し、新しい秘策を考え出したのです。候補者はレーガンであり、秘策とは、30年代の象徴であるルーズヴェルトの衣鉢を借用することでした。レーガンを新しいルーズヴェルトとして売り込み、その蔭で、ルーズヴェルトが擁護したり成し遂げたりしたものを徹底的に破壊しようというのです」
「いまのような経済活動を維持していくには大規模な官僚機構が不可欠であり、結果的にわれわれは彼らの清廉さや有能さに大きく依存することになってしまいます。しかしわれわれはここしばらくの間の出来事で、清廉さはあまり期待できないことを学びました。いまのままではわれわれは、けんりょぅを握っている人間に対して、とてつもない無能さと、とてつもない報酬を許さざるを得ないことになり、それは、いまのところまだ解決されていない非常に大きな問題だと思います。それは法律に全く触れないので、私はそれを合法的な詐欺と呼びたいとおもいます」
日本社会の不健康さはこれに比べるとスケールが小さい分だけまだましというのが率直な感想だ。