エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

玉村豊男は最後の頼みの綱

今日の午後はイメージングの授業。1時間半の予定が1時間15分で終わってしまったが、4コマめにも関わらず、結構集中して聞いてもらえて、いい授業をしたという充実感があった。今年度はこの後、秋に3時間話せば授業は終わり。大学院はteaching dutyが少ないのでありがたい。これが学部ならこうは行かない。今から覚悟しておかねば。

気分良く、近くの書店に行って、新書を2冊購入。一冊は玉村豊男の「里山ビジネス」。

里山ビジネス (集英社新書)

里山ビジネス (集英社新書)

玉村豊男は読書人としての自分の最後の頼みの綱である。人間絶不調の時というものはあるもの。私は完全な活字中毒人間だが、まれにどんな本も読む気がしない時がある。2年半前がそうだった。でも、そのときでも不思議なことに玉村豊男の本だけは読めた。文章や内容が生理的に合うとしかいいようがない。たとえば、「ヴィラデスト3年連用日記」

ヴィラデスト3年連用日記―田園生活 1993~1995

ヴィラデスト3年連用日記―田園生活 1993~1995

玉村豊男が大病を繰り返しつつも、人生の楽園を見つけていく(作っていく)様子は何度読んでも愉快である。

里山ビジネス」はまあそんなわくわくする本ではない。でも玉村豊男ファンには楽しい。

「世界がどんなにグローバル化しても、小さいものを大きいものが、大きいものをより大きいものが呑み込むような弱肉強食の格差社会になっても、そんな大勢には全く関係なく、額に汗して毎日こつこつ働き、働く事そのものに喜びを見出し、仕事が終わったら風呂に入ってああいい湯だと唸り、ワインの一杯も飲みながら愉快な食卓を囲んで大笑いをする。会社は大きくならなくても、収入がそれほど増えなくても、自分に嘘をつかずに生きていける、そんなたしかな生活の拠点を私はつくりたいのです。」

私も、そんな研究室を作りたいものだとしみじみ思う。この競争社会の中でも。