エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

最後の授業

今日は泌尿器科の診察。尿管結石だったのか、膀胱がんなのかが分かる日。もろもろ考えてがんの可能性は実際にはほとんどないとわかってはいても、夕方の診察時間が近づくにつれ、何とも言い表しがたい気分になる。診察室に入って、担当医の緊張感のない表情を見てほっとした。結果はセーフ。結石はCTでも造影検査でも見つからず、流れてしまったんでしょうという話になった。再発しやすいので、水分を多めにとるように心がけてください、という言葉で無罪放免となった。歩いて家まで帰りながら健康のありがたみをしみじみ思う。

ランディ・パウシュ「最後の授業」は、膵臓がんの転移であと半年の余命宣告を受けたカーネギーメロン大学の46歳の教授の最後の授業の話。Youtubeで全米600万人のアクセスがあったという。

最後の授業 DVD付き版 ぼくの命があるうちに

最後の授業 DVD付き版 ぼくの命があるうちに

一気に読んだ。癖のある人だ。だが、あと半年の余命宣告を受けていてこれほど楽天的になれるというのはどういうことだろうと不思議な気がした。自分ではとてもこうはいかないだろう。

「僕のなかでは、もっとふさわしい第一の目標があるー学生が自分をどのように評価するかを学ぶことを、僕は手助けしたい。学生は自分の本当の能力を理解しているだろうか。自分の欠点に気づいているだろうか。他人が自分をどんなふうに見ているか、現実的に考えているだろうか。つまるところ、教育者の一番の役割は学生が内省する手助けをすることだ。人間が向上する唯一の方法は、自分を評価する能力を伸ばせるかどうかだ。自分を正確に評価できなければ、よくなっているのか、悪くなっているのか、知りようもない」
「僕が研究チームに求めるのは、一緒にいるみんなが幸せな気分になることを手助けできる人だ」
「経験とは、求めていたものを手に入れられなかった時に、手に入るものだ。失敗は歓迎できるだけでなく、必要不可欠なのだ」
「どうしてもほしいものがあるときは、決してあきらめてはいけない。助けてくれる人がいるならば、力を借りればいい。壁がそこにあるのは、理由があるからだ。そして壁を乗り越えたあとは、自分の経験を話せば、きっとだれかの役に立つ」

最後の授業がDVDに入っているので、週末にゆっくり見よう。