四条へ橋口亮輔監督の「ぐるりのこと。」を観にいく。
木村多江の初主演作ということで、単に彼女の演技を観にいったのだが、予想外にいい作品だった。何より脚本がしっかりしているし、木村多江の熱演にリリー・フランキーが自然体の演技でうまく合わせていた。
リリー・フランキーを法廷画家という設定にしたのが脚本の勝利だろう。夫婦二人の小さな世界に92年から2001年までの「日本の失われた10年」が持ちこまれて、闇と光のコントラストが人間のレベルでも社会のレベルでもしっかり描かれていた。2時間半と長い映画だが、観終わったあとに再生のすがすがしさが残る。
80名くらいの劇場は満員だった。思ったより中高年が多くて、少し驚いた。