エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

物理

よみがえる網状説

昨日は米沢富美子先生の講演を聴きに行った。進化論と20世紀物理学と複雑系の話。一般向けの講演で「おー」というネタはなかったが、話し方の参考になった。ただスライドが妙にピンクが多かったり、ピンクや水色の☆マークが頻出するのには参った。最後に挨…

変分問題としての量子化

今日の京都は梅雨の中休みで、午後からさわやかに晴れた。懸案だった実験もうまくいって夕食前のアイスクリームがおいしい。保江邦夫の「量子の道草」を読む。量子の道草―方程式のある風景作者: 保江邦夫出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 1999/02メディア…

Quantum Monadlogy

川沿いのサクラがそろそろ見ごろで、午後からの雨にもかかわらず散歩する人が結構いる。川べりには菜の花も咲いている。中込照明の「唯心論物理学の誕生」を読む。唯心論物理学の誕生―モナド・量子力学・相対性理論の統一モデルと観測問題の解決作者: 中込照…

春近し。時間とは何か、空間とは何か

今日は春近しを思わせる日差しの明るい一日。花粉症で外出を控えていたが、あまりの散歩日和に眼鏡&マスクの完全防備で下の子と下鴨神社まで出かける。糺の森で探検ごっこに出かけた子どもを待つ間、iPodで竹内まりやのImpressionsを聞く。ついに、ブライア…

時間と確率と抽象的量子論

新しい年の始まり。下鴨神社に行ってしっかり祈ってくる。京都はうす曇で、ぱらぱら降ったかと思うと、陽もさしてみたりのお天気。年賀状を読んでも、2009年は激動の年と見て振り回されないように足元を固めようという気持ちの人が多いようだ。フォン・ワイ…

物理学者、ウォール街を往く

昨日は、下の子を連れて研究室でのバーベキューに出かけた。研究室が世話役をしている「がん若手の会」の今年の参加者のコネで高級山形牛5kgがどんと手に入ったので、季節外れの外での宴会となった。肉ばかり食べても飽きないほどおいしかった。満足。エマニ…

The End of Time

Julian Barbourの"The End of Time"を読む。The End of Time: The Next Revolution in Physics作者: Julian Barbour出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2001/11/29メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見るこの本の存在はリー・スモ…

比叡山の霧

今日は処暑だそうだが、確かにここ数日はクーラーを使わずに眠れる程度に温度が下がってきた。雲もちぎれ雲だ。今日の雨でも比叡山から大文字山にかけて霧が立ち込めていたが、そういうことにも秋を感じる。池内了の「物理学と神」を読む。物理学と神 (集英…

時間のパラドックス

朝の天気図を見て秋だなと思っていたら、確かに今日は少し凌ぎやすかった。M社との共同研究でYさんとAさんがやってきて、午前中はそればかりで過ごしてしまった。Yさんは最近転職してM社に来たばかりだそうだ。景気が後退局面に入ったので、一時上向いた転職…

叛逆としての科学

昨日はN大のS先生のグループと共同研究の打ち合わせ。こちらは実験でむこうが理論なので。話がかみ合うまでにいつも時間がかかる。これが同じ大学にいてもっと日常的に議論ができれば、もっとスムースに進むのだろうが。ネット時代なのだからもう少し工夫を…

脳は物理学をいかに創るのか

ようやく内閣改造が決まりそうな雲行きになってきた。福田内閣のフットワークの悪さにはいらいらを感じていたので、何にせよ物事が前に進むのは歓迎である。公明党も年内解散を言い出しているので、いよいよ福田さんも腹のくくり時と思っているのかもしれな…

確実性の終焉

暑さが続く。今日も36度近い気温で外に長くはいられない。京都も3年目だが、今年が一番暑くなりそうだ。朝涼しいうちに研究室に行って午前中で切り上げてきた。イリヤ・プリゴジンの「確実性の終焉」を読んだ。確実性の終焉―時間と量子論、二つのパラドク…

趣味で相対論

下の子の6歳の誕生日。何か記憶に残る事をということで、家内の提案で関西サイクルセンターに一泊旅行にでかける。アトラクションとプールとBBQ。プールで通算7時間も子供を見ていたので、すっかり日焼けする。それにしても暑かった。 広江克彦の第2弾・…

趣味で物理学

同じキャンパスで神経解剖学を教えているK先生のホームページを見ていたら、K先生は実はシステム神経科学の硬派であることがわかった。うれしくなってホームページの「読者のコメント」にあてて感想を送ったところ、早速返事が来た。鎧袖一触。「ニューロン…

時間について

NHKが全英のテニスの再放送をしてくれたので、家内と見入る。すばらしい試合だった。今まで見た中で一番印象に残っているテニスの試合は、20年前にみたマッケンロー対レンドルの全仏だったが、それに匹敵する。家内は、どうやらテニスを習いに行く事にした…

ペンローズの<量子脳>理論

昨日の学会でのトークは割りと反応がよく、気分良く晩御飯に出かける。渋谷のハチ公前で年下の友人と待ち合わせて(ハチ公の角度が以前と90度違うような気がするのだが、単なる記憶違いか)、パルコの近くのせいろ蒸し屋に入る。豚肉のせいろ蒸しを白ワイ…

生命原理と自己説明する宇宙

今日は奈良先端大のS先生と3ヶ月ぶりくらいに共同研究の打ち合わせの予定。S先生とは馬が合う。考え事をする仕方が似ているのだと思う。その点で、研究者は2つに分かれると思う。一方は、discussする相手を必要とする。時間をかけて徹底的に議論する事で自…

皇帝の新しい心

私が勤務している研究科には副指導教員制度というものがある。いわゆる指導教官とは別に、2人の教員が面談して学生さんの状況を確認し、情報を共有する。まあ不調の早期発見のためのカウンセリングだと思っている。今日は博士1年の学生さんの面談を1時間…

幻子論

ジンギスカンは義経だったという本がある。明治天皇はひそかに暗殺されすりかえられていたという本がある。いわゆるトンデモ本である。もちろん物理の世界にもあるし、神経科学の世界にもある。個人的には好きである。Anything goesだと思うから。熊野宗治の…

物理学の30年の停滞

夏至も過ぎ、梅雨らしい雨の続く時節になった。雨降りは内省を誘う。「迷走する物理学」を書いたリー・スモーリンは私が最も愛好する物理学者である。迷走する物理学作者:リー スモーリン武田ランダムハウスジャパンAmazonこの本で、スモーリンは、物理学の…

分からないのだが面白い

この季節はわりと好きだ。気力が充実している。充実しているので、前から気になっていた大著に挑んだ。ロジャー・ペンローズの「心の影」。あの「皇帝の新しい心」の続編だ。心の影〈1〉意識をめぐる未知の科学を探る作者: ロジャーペンローズ,Roger Penrose…

多数決での多世界解釈

大学生協で面白そうな本を探していたら、この本が平積みになっていた。即購入。量子力学の解釈問題―実験が示唆する「多世界」の実在 (ブルーバックス)作者: コリン・ブルース,和田純夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/05/21メディア: 新書購入: 6人 ク…

時間はどこで生まれるのか

日曜の夜、下の子を連れて近くの疎水に蛍を見にいった。最初行った橋の片側では見つからなかったので「こりゃまだ早いのかも」とあきらめそうになったが、人が結構出ていたので、いるはずだと思い直し、橋の反対側を歩いていくと、いたいた。ふわりと飛んで…

自然をありのまま見ない鍛錬

今日は雨から曇りの天気。下の子が熱を出したりしたこともあって、外に出ずにごろごろ過ごす。佐藤文隆「孤独になったアインシュタイン」を読む。孤独になったアインシュタイン (グーテンベルクの森)作者: 佐藤文隆出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/02…

the quantum-classical transition

5月1日号のNatureに面白い記事が出ていた。"Quantum all the way" by Philip Ball古典力学的世界観では、モノは同時に2つの状態はとれない。'either/or' である。これに対して、量子力学的世界観では、モノは平然と2つの状態をとる。'both/and'である。言…

研究者として生きることを促す本

今日は雨なので内省的に過ごす。南木佳士の「天地有情」である。8年前の夏に、この本を読んだ。お盆で休みをとっていた時のことだった。宇宙は自ら進化した―ダーウィンから量子重力理論へ作者: リースモーリン,Lee Smolin,野本陽代出版社/メーカー: 日本放送…