エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

2009-01-01から1年間の記事一覧

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史

昨日、座禅会に2度目の参加。雨も降って内省的な雰囲気。だが瞑想境にはなかなか入れない。足の痛みがない分だけ、つまらない考えが泡のようにつながって湧いてくる。でもおかげでさっぱりしてよく眠れた。佐野眞一の「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後…

こんな日本でよかったね

昨日は研究室の新人歓迎会。幹事が硬骨男性に変わったので、「すき焼き食べ放題」というガッツリ系の宴会になった。飲み放題もついて4200円なのは宴会専用店だからだろう。若い人はよく食べる。こちらはバランスよく適当につまんでいたつもりだったが、場の…

意識の存在理由

ここしばらくM2の学生さんと彼の進路について相談している。彼はもともと意識とか自己といったものに興味があって神経科学を志したのだが、学部4年の時の卒業研究でそちら寄りのラボに行き、何だか違う(あるいは、これでは食っていけそうにない)と思って…

科学の世界と心の哲学

昨晩は10年ぶりに鳥取大学のO先生に会って、北白川の小料理屋で4時間くらい四方山話で過ごした。酒はビールと秋田の太平山。久しぶりに適量以上を飲んで、午前中は軽い二日酔い。小林道夫の「科学の世界と心の哲学」を読む。科学の世界と心の哲学―心は科…

スタッズ・ターケル

桜が終わったと思っていたら、大学への行き帰りの道に花水木が咲いている。赤と白と交互に植えているので、自転車で走り抜けるといいリズムである。スタッズ・ターケルの「希望ー行動する人々」を読む。希望―行動する人々 (文春文庫)作者: スタッズターケル,…

「無」のリアリティ

昨年の秋、井筒俊彦の「意識と本質」を読んで、禅の哲学的意味を少しかじれた気がした。 http://d.hatena.ne.jp/tnakamr/20080923/1222146172そうすると、次には「実際にやってみるとどうだろう」と考えるようになり、手軽に座禅ができるとことがないかと探…

Nature via Nurture

朝、不意に思い立って、嫁さんと龍安寺に桜を見にでかけた。あの石庭に前方からかぶさるようにして枝垂桜が咲いている写真を見たとき、「次は桜の季節に来よう」と思ったのを思い出したからだ。枝垂桜は満開で、石庭にはなやかな蔭を落としている。少しばか…

松岡正剛の「多読術」

私は、自分の人生の目的(の少なくともひとつ)は、「読書家になること」だと思っている。なので、希代の読書家が読書法を語る本にはいつも興味津々である。新聞で松岡正剛の「多読術」の広告を見つけたので、早速生協書店に行って買ってきた。多読術 (ちく…

アッチェレランド

SF

鴨川べりは桜が満開。下の子の小学校の入学式が満開と重なり、うれしい気分になる。日和に誘われて、実験の待ち時間に川べりに出て、陽射しをあびながらBIGENを聴く。いい心持ちである。チャールズ・ストロスの「アッチェレランド」を読む。アッチェレランド…

Quantum Monadlogy

川沿いのサクラがそろそろ見ごろで、午後からの雨にもかかわらず散歩する人が結構いる。川べりには菜の花も咲いている。中込照明の「唯心論物理学の誕生」を読む。唯心論物理学の誕生―モナド・量子力学・相対性理論の統一モデルと観測問題の解決作者: 中込照…

利己的な遺伝子

リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」を読んだ。" title="利己的な遺伝子 ">利己的な遺伝子 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2006/05/01メディア: 単行本購入: 27人 クリック: …

八大山人の安晩帖

南禅寺の近くにある泉屋博古館に八大山人の安晩帖を見に行った。安晩帖は、司馬遼太郎に言わせると「京都にある第一等の美術品」だそうだ。それを聞いてから一度は見ておきたいものと思っていたが、なかなか出品されない。ようやくこの春に中国絵画のコレク…

落下傘学長奮闘記

黒木登志夫先生の「落下傘学長奮闘記」を読んだ。落下傘学長奮闘記―大学法人化の現場から (中公新書ラクレ)作者: 黒木登志夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/03メディア: 新書購入: 2人 クリック: 22回この商品を含むブログ (17件) を見る癌遺伝…

流動的知性である無意識は通時的である

今週は、半ばにU財団の研究助成金の贈呈式で東京まで日帰りした。体調不十分だったので、ドタキャンしようかと一瞬思ったが、我慢してでかけてよかった。出席率は95%以上だったし、U賞を受けた山中伸弥先生味のある話も聞けた。同時受賞はT大の飯野先生。…

春近し。時間とは何か、空間とは何か

今日は春近しを思わせる日差しの明るい一日。花粉症で外出を控えていたが、あまりの散歩日和に眼鏡&マスクの完全防備で下の子と下鴨神社まで出かける。糺の森で探検ごっこに出かけた子どもを待つ間、iPodで竹内まりやのImpressionsを聞く。ついに、ブライア…

リターンマッチ

後藤正治の「リターンマッチ」を読んだ。リターンマッチ (文春文庫)作者: 後藤正治出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/09メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (4件) を見る久米宏の頃のニュースステーションでも取り上げられてい…

トランスセンデンタル・アジール・コミュニズム

今日から入試。母親に付き添われている受験生が目に付く。「いやあ、でもK大医学部を受けるのなら俺も付き添うかも」という話になった。それにしても学生服というのは幼く見える。中沢新一の「僕の叔父さん 網野善彦」を読んだ。僕の叔父さん 網野善彦 (集英…

ダーウィニズムという万能酸

冬休みの前に、生協の本屋で「心は遺伝子の論理で決まるのか」という本を見つけ、どうも気になって買ったのだが、そのままになっていた。しばらく前から読み始めたら、最初の方で、やたらダニエル・デネットの「ダーウィンの危険な思想」に言及している。ど…

人に向かわず天に向かえ

行きつけの本屋で篠浦伸禎の「人に向かわず天に向かえ」という本を見つけて読んだ。脳外科医にもこういうことを考えている人がいるのだと興味深かった。今年に入って屈託を感じることが多かったが、そこに少し陽が差し込む気持ちにしてくれた。その本に何度…

猫を抱いて象と泳ぐ

昨日、今日と晴れて寒い。上の子にプレゼントされた晴雨計によれば今日はこのまま晴が続くらしい。小川洋子の「猫を抱いて象と泳ぐ」を読んだ。猫を抱いて象と泳ぐ作者: 小川洋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/01/09メディア: 単行本購入: 5人 クリ…

プルーストとイカ

センター試験の頃は決まって寒くなるという記憶があるが、今日は朝から陽も差して穏やかだ。明日は試験監督で一日大学にいなければならないので、のんびり過ごすことにする。メアリアン・ウルフの「プルーストとイカ」を読む。プルーストとイカ―読書は脳をど…

時間と確率と抽象的量子論

新しい年の始まり。下鴨神社に行ってしっかり祈ってくる。京都はうす曇で、ぱらぱら降ったかと思うと、陽もさしてみたりのお天気。年賀状を読んでも、2009年は激動の年と見て振り回されないように足元を固めようという気持ちの人が多いようだ。フォン・ワイ…