エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

思想・哲学

ダーウィニズムという万能酸

冬休みの前に、生協の本屋で「心は遺伝子の論理で決まるのか」という本を見つけ、どうも気になって買ったのだが、そのままになっていた。しばらく前から読み始めたら、最初の方で、やたらダニエル・デネットの「ダーウィンの危険な思想」に言及している。ど…

うごメモはてな+街場の現代思想

上の子も下の子ももう一台DSが欲しいそうなので、応募。http://d.hatena.ne.jp/ugomemohatena/20081218/1229578200 神戸大のSさんから来学期の講義を頼まれた。「分子イメージングの最近の話題」というタイトルの全4回の大学院博士課程の講義の一コマ分。英…

「二分心」理論と精神分析

今週は山あり谷ありで、何とか無事に週末にたどりつけたという感じだ。研究室では、年に二度、メンバー一人一人が教授と面談して、将来構想から人間関係の悩みまでひととおり話すというシステムがある。いい仕組みだと思う。それなりに相談したいことをまと…

学会とユング

神戸での分子生物学会・生化学会に行ってきた。シンポジウムのトークも無事に終わり、共同研究のきっかけもつかめるなど収穫の多い学会だった。昨日は、元町の中華街にある「小小心緑」で昔馴染みと夕食。S薬科大は、教室あたり年800万円の研究費がもらえ…

構造主義と禅

内田樹の「寝ながら学べる構造主義」を読む。寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))作者: 内田樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2002/06/20メディア: 新書購入: 43人 クリック: 418回この商品を含むブログ (340件) を見る構造主義の本は高い上に難しくて面…

時間と存在

連休最終日。朝から大森荘蔵の「時間と存在」を読む。時間と存在作者: 大森荘蔵出版社/メーカー: 青土社発売日: 1994/03/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る「時は流れず」に接続する大森本。第一章は時間論。第二…

時は流れず

日曜の朝というのに、Brain Science PodcastでBuszakiの「脳のリズム」のインタビューを聞いて活性化されてしまった。大森荘蔵の「時は流れず」を読む。時は流れず作者: 大森荘蔵出版社/メーカー: 青土社発売日: 1996/08/01メディア: 単行本購入: 2人 クリッ…

はじめて知る仏教

整体に行った帰りにわき道に入ると、刈った稲を干している田んぼがあった。この前通った時はまだ稲刈り前だったので、季節は着実に進んでいるわけだ。そろそろ来年の手帳や日記も売っているし。2008年もあと2月半だが、まだまだいろいろありそうだし、個人…

死生観を問いなおす

宮崎哲弥推薦の広井良典「死生観を問いなおす」を読む。死生観を問いなおす (ちくま新書)作者: 広井良典出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2001/11/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 52回この商品を含むブログ (15件) を見る時間についての考察を導きの…

私のマルクス

佐藤優の「私のマルクス」を読む。私のマルクス作者: 佐藤優出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/12メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 59回この商品を含むブログ (60件) を見る鈴木宗男事件がらみで外務省のラスプーチンという異称をもらい逮捕され、…

井筒俊彦と禅

井筒俊彦の「意識と本質」を読む。意識と本質―精神的東洋を索めて (岩波文庫)作者: 井筒俊彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/08/08メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 101回この商品を含むブログ (75件) を見る東洋思想を誰よりも広い視座で理解して…

時間のパラドックス

朝の天気図を見て秋だなと思っていたら、確かに今日は少し凌ぎやすかった。M社との共同研究でYさんとAさんがやってきて、午前中はそればかりで過ごしてしまった。Yさんは最近転職してM社に来たばかりだそうだ。景気が後退局面に入ったので、一時上向いた転職…

仏教の基礎は心理学にある

鈴木大拙の「無心ということ」を読む。無心ということ (角川ソフィア文庫)作者: 鈴木大拙出版社/メーカー: 角川学芸出版発売日: 2007/09/22メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見るデカルト流に心と物をわけてしまうという…

祇園囃子と「無」の哲学

3回目の祇園祭。宵々々々山に行く。祇園囃子を生で聞くと夏の訪れを感じる。今年は人出がまだ少ないので、長刀鉾の粽を買えた。そのあと子供につきあって細い通りに入り、夜店をひやかす。子供は大喜びである。こうしていると、自分の子供のころの祭りのわ…

永遠回帰の海

ここ数日、京都はうだるような暑さである。祇園祭の人ごみのようだ。長い夏になりそうである。立花隆の「永遠回帰の海」立花隆が写真家と二人でギリシア、トルコの遺跡を強行軍で走破した記録。思索紀行。私はこの本ではじめてアトスの存在を知った。古代か…

神は妄想である

リチャード・ドーキンスの「神は妄想である」を読んだ。神は妄想である―宗教との決別作者: リチャード・ドーキンス,垂水雄二出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/05/25メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 257回この商品を含むブログ (183件) を見る爽…

立ち現われ一元論者の見たロボットと意識

今週は良く働いたのでごほうびに午前中は休む。ソファで横になって大森荘蔵を読む。「物と心」大森荘蔵著作集〈第4巻〉 物と心作者: 大森荘蔵出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/03/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件)…

現代科学論の名著

クーンの「科学革命の構造」は流行に流されて読んだことはあるが、基本的には科学哲学は科学者になれなかった人がやるものと単純に思い込んでおり、いわゆる科学論を読んでこなかった。だが最近少し気が変わった。少し前に読んだファイヤアーベントの「方法…

conscious artifact

昨日整体に行って1時間ほどしっかりもんでもらったおかげで随分楽になった。今までは海外出張すると調子が戻るのに時間がかかっていたが、今回はお陰で早めにいつものペースに戻せそうな感じだ。1週間出張している間に季節が進んで、あじさいも咲き始めた…

神義論

バート・D・アーマンの「破綻した神キリスト」を読む。破綻した神キリスト作者: バート・D.アーマン,Bart D. Ehrman,松田和也出版社/メーカー: 柏書房発売日: 2008/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 49回この商品を含むブログ (9件) を見るアーマンは…

ポパーへのカウンターパンチ

雨は朝には上がり、今は目の前の庭に日が差している。朝顔の種はまだ芽を出さない。今日は早くから起きて、懸案だった「方法への挑戦」をじっくり読む。方法への挑戦―科学的創造と知のアナーキズム作者: ポール・K.ファイヤアーベント,Paul K. Feyerabend,村…