神戸での分子生物学会・生化学会に行ってきた。シンポジウムのトークも無事に終わり、共同研究のきっかけもつかめるなど収穫の多い学会だった。
昨日は、元町の中華街にある「小小心緑」で昔馴染みと夕食。S薬科大は、教室あたり年800万円の研究費がもらえると聞いてすっかりうらやましくなった。それだけあれば研究費をとりつづけるプレッシャーから解放されて自分のペースで仕事ができるのだろうな。国立大はじわじわと厳しい状況になってきているので、私立大はもっと厳しいのかと思ったら、案外そうでもないところはあるらしい。就職活動もそのあたりの情報をしっかり集めてからやらないといけないわけだ。
神戸への往き帰りで、「ユング自伝Ⅰ」を読む。
- 作者: カール・グスタフ・ユング,アニエラ・ヤッフェ,河合隼雄,藤繩昭,出井淑子
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1972/06/21
- メディア: 単行本
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ユングのどの著作よりも、聞き書きのこの自伝が面白いと聞いて読んでみた。第1巻は、幼年期から学生時代、心理学、そしてフロイトとの出会いと訣別まで。少年時代から自分の中に2つの人格(達者で活動的なNo.1と、神や信仰、宗教的啓示について強迫的に悩み続けるNo.2)を抱えていたユングの少年時代の記述が特に興味深い。なんだか村上春樹の小説のようだなと思いながら読み進めた。
予期に反し、フロイトとの出会いと訣別は淡々と話が流れた。ユングにとっては、外部のことがらは、自分の中にある神話や葛藤ほどは大事でなかったことがわかる。それにしても、これほど自分の妄念を考え詰めるのは桁外れである。ユングは本質的には宗教者なのだと感じた。第2巻に期待。