エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

永遠回帰の海

ここ数日、京都はうだるような暑さである。祇園祭の人ごみのようだ。長い夏になりそうである。

立花隆の「永遠回帰の海」

立花隆が写真家と二人でギリシア、トルコの遺跡を強行軍で走破した記録。思索紀行。

私はこの本ではじめてアトスの存在を知った。古代から続く宗教的鎖国の地である。女性は一切入る事ができない。ギリシア正教というのはどうも良く分からない存在だが、この本の写真での修道院の存在感は設定的である。

「時間は一つの方向に不可逆に流れるものではない。円環をなしているのだという。
時が円環であるなら、はじめもなければ終わりもない。
過去は同時に未来で、未来は同時に過去である。

現在は永遠に過ぎ去り行く一瞬一瞬ではなく、永遠そのものである。
現在はすでに過去にも無限回繰り返されたことがあり、未来にも無限回繰り返される。

人はまさにこの現在の一瞬において、過ぎ去り行く時を生きているのでではなく、永遠を生きている。
「見よ、これが永遠なのだ」とニーチェはいう」

ニーチェは遠い記憶だ。高校生の時に、全集の一巻として「ツァラツストラかく語りき」を読んで、こいつはどうもかなりいかれていると思いながら、なぜか通読してしまったことがある。いまだに不思議さのとれない哲人だ。

立花隆にも超人願望があるのだろうか。