エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

複雑系

計算機の哲学 computer-enhanced phylosophy

1)正確な表現ではないが客観的存在と主観的存在にわけるとすると、まず主観は現象学的経験からわかるとおり、「夢か現かわからない」がゆえに純粋な意味での(あるいは厳密な意味での)因果は存在しないという主張が可能である。また客観も、それが存在で…

脳は縮むと賢くなる

評議員会で東京にでかける。懇親会で顕微鏡メーカーのKさんと少し話になる。顕微鏡もハードだけでなくソフトもやらないと食っていけないですよね、という話を聞いて、本当にそうだと思う。「でもソフトは四隅をアメリカに抑えられているから、(半端に)頑張…

複雑系の世界

2012年の正月は曇りときどき晴れ。午後から近くの神社に歩いていこうかという程度の予定で、家族でごろごろしている。 メラニー・ミッチェルの「ガイドツアー 複雑系の世界」を読む。ガイドツアー 複雑系の世界: サンタフェ研究所講義ノートから作者: メラニ…

数学-物理学-生物学

1) 数学が恒真文によって定義づけられるのであれば、数学の全内容は「AはAである」の一文に帰するのか?直観的にはそうでないと感じられるが、その根拠は何か? 解答の手がかり:「数学―その形式と機能」S.マックレーン ・数学は形式的なネットワークである…

明日をどこまで計算できるか?

昨日、有楽町まで出かけたら、駅前のビルにクリスピー・ドーナツの店があったので、会議の後に寄り道して12個入りを買ってきた。チョコ好きの長男は大喜び。 デイビィッド・ボレルの「明日をどこまで計算できるか?」を読む。明日をどこまで計算できるか?――…

基礎科学の手つかずの大地について

昨日の荒天とは打って変わって、いかにも春という軽快な光の楽しめる一日。こういう日には何をしていてもどこか楽しい。 大野克嗣の「非線形な世界」を読む。非線形な世界作者: 大野克嗣出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2009/06/27メディア: 単行本…

世界のジェネレーターは見えない

朝、バスを待っていると、北大路の街路樹が8割がた葉を落とし、道の向こうにある和菓子屋さんが小豆を炊いている煙が見えるようになった。来た冬を感じる、同時に暖かくもある光景だ。 ナシーム・ニコラス・タレブの「ブラック・スワン」を読む。ブラック・…

歴史の方程式

シカゴから昨日帰国した。今度の学会は収穫が多かった。7年半前に今の研究室に加わった時に新たにテーマを立ち上げたのだが、そのときに考えたアイデアにはほぼひととおり手をつけ終わり、当たったものにさらに工夫を加える形で発展させてきた。1、2年前…

バラバシ教授の講演

今週の木曜日に奈良でトークをするので、週末は原稿を家に持って帰って手を入れたりしていた。一度済んだ仕事なので、新鮮な視点で見直すことができたせいか、その次の仕事についてひとつアイデアが浮かんだ。見直しても、とりあえず筋は通っていそうである…

新ネットワーク思考

アルバート=ラズロ・バラバシの「新ネットワーク思考」を読む。評価は4つ星。新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く作者: アルバート・ラズロ・バラバシ,青木薫出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2002/12/26メディア: 単行本購入: 40人 クリック: 594…

カオスの紡ぐ夢の中で

明日からCERNのLarge Hadron Colliderがようやく稼動するというニュースが夕刊に出ていた。ぶつける粒子のエネルギーの上限が一挙に7倍になるとかで何か面白そうなことが出てきそうである。5千億円の費用は安いのか高いのか?一番高い戦闘機が100億円だそ…

述語的統一による世界像

今日は一日、いい天気で若葉の緑が美しい。大文字山を背景にポプラの葉が風に翻る。一週間の仕事で疲れ気味の目に優しい風景だ。述語的統一による世界像とは、「どのように」を基軸に現象世界を見ることである。モノとその属性の間の主従関係を逆転して、さ…