エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

起きていることはすべて正しい

学生時代からコーヒーに凝っている。家でネットをするようになってまずしたのは、ネット上に店を出しているコーヒー屋を次々に試してみることだった。この2、3年はこのドイコーヒーで固定している。
http://www.doicoffee.com/

家内がドイコーヒーの12月のセットを頼んだところ、大当たりの豆があった。ペルーのコクラ農協の豆である。何でもマチュピチュの近くらしい。

深煎りしてあるのだが、味覚といい嗅覚といい「これが珈琲だ」という美味しさである。200gあるので、しばらくは楽しめそうである。

勝間和代の「起きていることはすべて正しい」を読んだ。

勝間和代の本も最近は中身がだんだん同じに見えてきて一時ほどの食欲がわかなかったのだが、葵書房で立ち読みしたら「この本はどうも少し違うようだ」と思って購入。精神論がうまく技術論に接続されていて、味の濃い読書ができた。これまでの勝間本ではベストではないか。「走りながら書いている」未完成感が感じられるが、ノウハウ本としてはむしろそれくらいの方が食欲をそそる。

技術① 潜在意識を活用するにはどういう技術があるか

「よく、「どうやって運を引き寄せるのか?セレンディピティを起こすのか?」という質問がありますが、それにはやはり「十分な経験値を積んだ潜在意識のデータベース」があり、そのデータベースに対して「ちょっとした刺激・気づき」をきっかけに、「新しい適切な行動を取る」、この繰り返しが必要だと考えています」
「また、潜在意識を活用するために、前から推奨しているのが「仏教三毒追放」です。すなわち仏教三毒として明示している、「妬む、怒る、愚痴る」をやめてみること、「妬まない、怒らない、愚痴らない」という行動パターンを作ることです」
「努力をするのは当たり前なのです。ただし、どこそこについて努力をしようとか、何を目標に努力をしようという、努力のかけ方が重要です。そして、三毒追放のいいところは、三毒を追放すると、潜在意識の中で自然と上手に適切な努力を促してくれることだと思います」

潜在意識が大事ということには全く同感。ただ私の場合、潜在意識でひらめきを生むためには「ひたすらそこのことを考え続ける」という方法論で来ていたので、体力の低下と共に必要な集中力が落ちて、方法論の切り替えの必要性を感じていた。この本に書いてあることで、潜在意識の重要性を再認識するとともに、「いかに無理なく潜在意識を活性化するか」の技術を磨く方向性があることに気づかされた。

技術② 即断即決するために「捨てる」技術

「単に意志が強いとか、やる気があるから決断できるのではありません。
決断が速い人は、決断を速くするだけの技術を持っている、それだけなのです。
そこには、魔法の杖も薬もありません。ひたすら、いかに技術を習得して、判断力を鍛えるかの繰り返しです」
「物事を決断するときに大事なことは、なるべくたくさんの選択肢を用意することです。
一つひとつの考え方を掘り下げて検討することは大事なことですが、それ以前にそもそも「筋のいいアイデアが十分にあるのか」ということが大事です。そして、そういった筋のいいアイデアは「ラテラル(水平)思考」から生まれます」

引き出しを増やすのには、ラテラル思考は使えるかも。少し値は張るが、冬休みに勝間和代のオーディオブックで集中的に鍛えてみようと思う。いいアイデアはいい結果につながり、研究費という形で返ってくるので十分その価値はありそう。

技術③ パーソナル資産(経験、技術、金、人脈)をどう殖やすか
技術④ 「わがまま力」と「アサーティブな振舞い」による周りの人とうまくやる方法

「人間関係を安定させるコツの一つは、相手に対して必要以上にいばらず、必要以上に媚びないことです。
そして、そのためには、各自がself-esteemを高める必要があります。しかも、self-esteemを自然に高めるには、自分に実力をつけるのが一番簡単なことなのです」
「最後の仕上げとして大事なのは、このわがままさにしても、アサーティブにしても、周りが共感するような大きなミッションや目標があって初めて応援団ができるということです」

自分の人生の目標は「神経系のシグナル伝達について、ひとつでいいからオリジナルな発見をすること」と思って、この15年くらいやってきたが、自分の研究室を作る時期に来ていて、どうもそれでは学生を引き込むには不足みたいだと感じている。簡単なことではないが、あと20年の研究者としての人生を支える目標をもう一度掘り下げて考えたい。