エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

ただ明確であればいいだけだ

三条まで「おと・な・り」を観に出かける。岡田准一麻生久美子。脚本が非常によくできていて、小道具を使った伏線の張り方が見事だった。なんといってもこの作品をひどく魅力的なものにしているのは、麻生久美子の抜群の存在感だろう。まるで恩田陸の作品に出てくる女性がそのまま現れたかのような、謎めいた、一方でひどくきっぱりとした雰囲気。この人が出るだけで映画がワンランクアップする。

マーカス・バッキンガムの「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」を読む。

最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

勝間和代推薦の本。マーカス・バッキンガムは「さあ、才能に目覚めよう」がインパクトがあったので期待して読んだ。期待どおりだった。

結論はこれ。
「すぐれたマネジャーになるために忘れてはならないのは、部下にはそれぞれ個性があること、そしてあなたの主要な責務はこの個性を排除するのではなく、活用できるように、役割や責任や目標のほうを調整することだ。この技術を磨けば磨くほど、より効率よく才能を業績に結びつけられるようになる。
すぐれたリーダーになるためには。反対のスキルが必要だ。私たち全員が共有する欲求を熟知しなければならない。全員に共通する欲求には、安全への欲求、共同体への欲求、権威への欲求、敬意への欲求があるが、リーダーにとってもっとも強力な普遍的欲求は、明確さへの欲求だ。知らないものに対する不安を未来への自信に変えるには、リーダーは、私たちみんなの未来を正確かつあざやかに描写できるよう訓練しなければならない。このスキルが上達するにつれ、あなたへの信頼も育つ」

すぐれたマネジャーとは。
「部下の精神状態を次のような方向に持っていくのだ−目のまえの課題のむずかしさについては100パーセント現実的に評価し、それを乗り越える自分の能力んついては非現実的なまでに楽観している。部下みんなをこうした心境にさせるスキルが上達すればするほど、有力なマネジャーになれるだろう」

リーダーとは。
「リーダーに楽観主義と強い自我が必要であることがわかれば、大昔からの疑問−リーダーは生まれつきのものか、作られるものかーにも答えられるだろう。答えは、生まれつきのものである。リーダーはもともと楽観主義の傾向を持っていて、それがなければリーダーになれない」

「個性の違いを超えて、人々みんなに共通する感情や要求をとらえること。この能力こそ、卓越したリーダーシップの核心にあるもの、「広範囲の共感」と呼ばれる能力だ。どんな偉業をなしとげても、どんなに価値ある経験や専門知識を蓄えていても、広範囲の共感をなくした時点−人々が共有するものを見失った時点−で、その人物はリーダーとしての能力を失う」

「有能なリーダーは情熱的である必要はない。魅力的である必要もない。才気あふれる人物、親しみやすい人物でなくてもいい。弁舌に長けていなくてもいい。ただ明確であればいいだけだ」

これは今後折りに触れて読み返すことになるだろう本だ。