エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

数学する精神

夜になってから降り出すと思っていた雨が、夕方には強く降り始めた。

五日前に2章だけ読んだ「数学する精神」を読了。

数学する精神―正しさの創造、美しさの発見 (中公新書 1912)

数学する精神―正しさの創造、美しさの発見 (中公新書 1912)

良書である。良く消化された話を1週間で一気に書きあげただけあって、数学書とは思えないほどreadable。にもかかわらず、大抵の数学書には見当たらない、高いところからの景色を見せてくれる。

やはり、一番の肝はフレームワークの外に一歩ずつ出ながら、新しい数学ができていく有様を素人にも納得のいくように書いてくれているところだろう。数学者になるためには演繹・証明ができなければ話にならないのだろうが、門外漢には(あるいは初学者には)「なんでそんなことを考え付くのだろう」という「数学ができてくる有様」を見せてもらうことが殊のほかに面白い。そしてほとんどの教師はそのことを考えない。類書と言えば、「数学的経験」が思い浮かぶが、

数学的経験

数学的経験

「数学する精神」の方が格段に読みやすい。週末だけの知的生活者にはおすすめである。