エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

絶対数学。

先週の金曜日に、精神神経センターのH先生に指摘されたことがずっと気になっている。われわれの使っている系が人工的過ぎるのではないか、より生理的な系でも同じことが成り立っているのか、というコメントである。

これは何とかせずばなるまいと感じて、今日は実験の合間にネットであれこれ調べて、ようやくこれなら、という系をみつけた。いくつかリスクはあるが、理屈の上ではうまくいきそう。ただ、研究室には無い系なので、習いにいかなければならない。いろいろ探すと、東大病院のA先生がエキスパートのようなので、そこにお願いしてみるつもり。


黒川信重小島寛之の「リーマン予想は解決するのか?」を読む。

リーマン予想は解決するのか?_絶対数学の戦略

リーマン予想は解決するのか?_絶対数学の戦略

絶対数学。重たい、いい響きである。私は小島寛之のファンだが、この本に関しては、黒川信重の天馬空を行く記述に圧倒的に魅せられた。

量子論では点の可能な軌跡(世界線)全体を考え、その上のファインマン積分(つまり、基礎方程式から決まる、軌跡ごとの可能性の高低を付けて足し合わせる)により粒子の存在する期待値が計算されるというのが要点であった。ただし、数学的に言えば「ファインマン積分」は数学的な「積分」にはまだなっていないのである。さらには、このような量子論を重力を含む理論に適応すると発散を回避することが非常に難しくなるという難題に直面するのであった。
これに対し、究極理論と言われる超弦理論においては、弦の軌跡全体の上でのファインマン積分により弦の存在する期待値が計算され、重力を含む発散しない理論を得ることができると信じられている。弦の軌跡は面となるので、弦の軌跡全体とは世界面全体ということになる。数学的にはタイヒミュラー空間やリーマン面のモジュライ空間といわれる良い空間と解釈することができる。これが『超弦理論』が上手くいく要点であった」

「ただし、まだまだ「ゼータは見えているが空間の正体は見えない」という状態に近い。この問いを解いて、未知空間を捉えることが永遠の中心問題である。その解は真の物理空間を求める問題への解にも有力な寄与をするに違いない」

絶対数学の基本は絶対空間であり、そのうちでとりわけ基本的な重要性を持っているのが絶対素数空間
|Spec|(Z)
である。これは素数全体の空間を絶対数学的にふくらませたものだが、残念ながら、数学概念をたくさん導入しなければ説明できない。つまり、ゼータ惑星の言葉で書かれているゼータ数学・絶対数学は、その言葉をつかわなければきちんと記述できないのである。翻訳は補助的なものであり、本質は伝わり難い。ただ一つだけ付け加えておくと、絶対空間の”点”
|Spec|(F1)
は生きているように輝いて見える。これが、ライプニッツが「モナド」と呼んだものなのではないかと考える。つまり、モナドとはモノイド数学(絶対数学)の点だと思えるのではないか」


それにしても、物理世界の理解し難いリアリティまでが、これほど見事に数学で記述できるのは本当に不思議なことだ。