エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

はじめての現代数学

民主党の新代表が鳩山さんに決まった。29票という差からすると党内力学をそのまま反映したようだ。政治目標として「愛」を掲げられるような人を信用できるのかというのが個人的な感想だが、どう見ても麻生さんよりはましだろうから、是非がんばってもらいたい。今後は自民党に手が渡るわけで、総選挙までに自民党がどういうウルトラCを繰り出してくるのかが見ものだ。

瀬山士郎の「はじめての現代数学」を読む。

20世紀数学の簡にして要を得た解説書。無限と集合、トポロジー数学基礎論などを扱っている。20世紀数学の大きな流れを「モノ」から「コト」へ、より構造主義的に、より抽象的に、というものと捉えて、数式を使わずにできるだけ誠実に説明している。

位相空間というのはてっきりSF用語かと思っていたが、数学的定義をはじめて知った。距離というか殻構造を表現したものだったんだ。

「X内の各点xに対してxを芯とするたまねぎ構造が構成されているとし、このたまねぎ構造が構成されているとし、このたまねぎ構造の殻の全体をn(x)と書く。このとき、
(1) n(x)の各殻はxを含む。
(2) n(x)の二つの殻の共通部分もまたxの殻となる。
(3) n(x)の一つの殻Uを含む集合はxの殻となる。
(4) n(x)の殻Uに対してUより小さい殻Vが必ずとれ、V内の点yについてUはyの殻にもなる。
が成り立つとき、この構造をXの近傍系と呼び、近傍系を持つXを位相空間という」

頭が痛くなりがちな記号論理学の説明についても、意味論と統語論を表にだしてくることで、変に迷うことなく理解できるように工夫されている。

「正しいか、間違っているかという概念を構成し、それによってPを差異化する方法をふつう、意味論的方法と呼ぶ。すなわち、"正しい"ということの意味づけをここではトートロジーという概念で行ったことになる」