- 作者: ジェラルド M.エーデルマン,冬樹純子,豊嶋良一,小山毅,高畑圭輔
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
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なのだが、なんだかあまりにも手堅い。たぶん見渡した範囲内での最高の難問であろう「意識」の科学はもっとアッと言わせるものであってほしいというのは分野外の人間の無責任な希望だろうか。
いや、「意識」の科学こそは、考える人にとっての最後の希望である。こんなに地味な話であってほしくない。もっとアナーキーなbreakthrough、リング外からのいきなりの一撃、フレームワークからの逸脱による解決であってほしい。つまり私は、「意識」の科学に、最高に良くできたミステリーであることを求めている。
もう少し分析的に考えると、エーデルマンは意識が存在することの神秘を「それは進化によってできたものだから」の一点張りで封じ込めてしまっているように思う。「それをいっちゃあおしまいよ」の世界ではあるまいか。やはり、「意識」の科学こそは、考える人にとっての最後の希望であってほしい。
と思いながら高野川沿いの道を自転車で帰ってくる。新緑は格別に美しい。実に快適なクオリアである。いろいろ心の萎えることはあるけれども、それでも新緑の季節は心に弾力を感じる。