本日付のN誌に自分達のグループの論文が掲載された。top journalに論文が出るのははじめてなのでうれしいことである。もっとも受理されて2ヶ月経ったので最初の興奮はほぼなくなった。チャンスはピンチ、ピンチはチャンスと思いたい。
昼食後、生協の本屋をぶらぶらしていて、中公新書の一冊が目に留まった。「数学する精神」という題に惹かれてぱらぱらと見ていたら、どうやら2章でゼノンのパラドックス(いつまでたってもアキレスは亀に追いつけないと言うアレである)を説明してあるらしい。思わず購入。
数学する精神―正しさの創造、美しさの発見 (中公新書 1912)
- 作者: 加藤文元
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 新書
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ゼノンのパラドックスはずっと気持ちに引っかかっていた逆理である。積極的に調べたことはないが、いろいろな本でぶつかる度に気をつけて読んでいたのだが、どうも腑に落ちない。ごく簡単な話であるだけに腑に落ちないのは気にかかる。そういう存在だった。仕事を後回しにして、2章を読み始める。はたと膝をうった。なんだそうだったのか。「実数論」を実在と考えていたのが間違いで、モデルと考えればよかったわけである。しかもモデルなわけだから、逆理は逆理であり続け、解決済みの問題とはみなせない。モデルが揺らげば(いつか乗り越えられる時がくれば)、逆理の効力は復活する。いわば今はただ封じられているだけである。面白かった。こういうことがあると何はともあれ一日ご機嫌である。