ホワイトデーのクッキーを買いに近くの店へ出かけてぶらぶらしていたら、あるお菓子やで子供達の名前をつなげたブランドが出ていて即購入する。
浅田次郎の「降霊会の夜」を読む。
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/03
- メディア: 単行本
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父子物にとても弱いので、宮本輝の「流転の海」などは何度も読み返して愛読している。その意味で浅田次郎のこの本の前半部はまさにつぼにはまって引き込まれて読んだ。いつに変わらずうまいのは、背景となる時代をきれいにひっくり返して、その陰画の中で人間が奥行きを持って動くところだ。今回の時代背景はほぼ「3丁目の夕日」と重なるが、自分が歳をとるに連れて、あの時代への評価は複雑になってくる。
「なあ、ゆうちゃん。
人間は、嫌なことを片っ端から忘れていかなければ、とうてい生きてはいけない。でもな、そうした人生の果ての幸福なんて、信じてはならないと俺は思う」
A.K.ル・グィンに「オメラスから歩み去る人々」という短編があって、そこにはこれと同じことが書いてある。四半世紀前に読んだ時の記憶が鮮やかで再読することもないほど何度も思い出す。こういうものはやはり小説でしか表現できない。