エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

明治維新と戦争の実体

高橋五郎の「天皇の金塊」を読む。

天皇の金塊

天皇の金塊

広瀬隆と同系列のいわゆる裏面史ものだが、どうもこの手の本に弱い。

趣旨は、「金の百合」と言われる巨大資金が日本に隠匿されているという話だ。
戦争を繰り返した大日本帝国が、天皇の名のもとにアジア12カ国から強奪した戦利品の
集大成だそうだ。そして、その巨大資本は現代の日本社会をも動かしているという
(最近の話題では、「霞ヶ関埋蔵金」がそれに関連した話らしい)

さすがに若い頃とは違って、まともに受け取る事はなくなったが、
でもこういう裏があるかもね、という気分はかえって強くなっているかもしれない。

「欧米資本家たちと謀議して戦争を進め、法外な金塊を懐にして敵味方の戦費を賄いながらその負担に耐えるふりで終戦を迎え、さらに敗戦による貧困国を装って戦後をやりすごしてきた日本政府とは卑弱どころかなんともしたたかでタフな政府だったのだ」
「現在は明治政府そのものがイギリス王室と二大金融勢力(ロックフェラーとロスチャイルド)が誕生させた政府だった事実も研究者の間では知られるようになった」
「歴史常識を真正面から正直に語っているつもりの国定教科書すら、こうした異国の民間金融化と、日本の野心家サムライ軍団との間のカネと権力を巡る野合を説明していない。ひたすら明治維新を画期的な変革だったと声高に叫びつつ維新の舞台裏には目を背けているのが日本の教科書なのだ。なるほど搾取だけとりえの一介の民間金融業者(ロスチャイルド家)に国家百年の計を仰いで近代の日本政府(日銀)を立ち上げましたとは公言しづらかろう」
「電撃的にゴルバチョフに対して、ファンドマネーを無償供与して買い戻した北方四島(15億ドルの現金と15億ドル相当のIT機器を新生ロシアに供与して、国後、択捉、歯舞、色丹の四島返還の約束をさせた)その一件もいつの間にかカネだけ奪われて、エリツィンプーチンらから未解決の問題だなどと開き直られている日本政府のていたらくぶりにも三上は愕然としていた」

この本が、売れたら佐藤優はどういう弁解をするのだろう。それを想像するのは意地の悪い楽しみである。