この間の日曜日に船橋まで玉村豊男展を見に行った。絵を買う元気はなかったので画集を買って眺めている。
伊庭幸人の「ベイズ統計と統計物理」を読む。
- 作者: 伊庭幸人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/08/27
- メディア: 単行本
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伊庭先生は統計学の分野では(たぶん)強面の有名人で、神経科学畑でもモデルやシステムをやっている人は知っていると思われる。私は統計学は素人だが、ある会でたまたま少しまとまった時間お話したことがある。(好意的に)かなり変わった方だなと思ったが、その伊庭先生が「それでは、私の頭の中へ、どうぞ」と書かれたのがこの本。
実用的ではないが、大変おもしろい。たぶん、この本の発想の独特のところは、条件付確率による推論(ベイズ推論)と熱平衡状態の統計物理とのアナロジーをごりごりと追求しているところだろう。そこから話をどんどん進めて、「『統計学』というのは、ある意味でメタレベルの学問、人間の思考の仕方そのものについて考える学問なのである」という主張にいたる。
また、さすがベイズの伊庭先生で、「ベイズ統計の特徴は、問題全体の確率構造を最初に書き下してしまうところにある」といった急所をつくひとことがあちこちにあって勉強になった。