小松左京の多面体
来年度は新人さんが4人来ることになっているが、自分のグループにそのうちの1人をもらうかどうかの心積もりをする時期になった。そのために、昨年うまく進んだ細胞内輸送の路線で、少し違った分子に手を広げようと考えて、新人さんのテーマを立ち上げるための予備実験をやっているのだが、なかなか見込んだ結果がでない。
そうこうしている内に、JCB誌に関連論文が出て、方針変更が必要になり、週末にかけて悩んでいた。た結局、ただ悩んでいても仕方がないので、新しい方向を模索して別の遺伝子をオランダの研究者にリクエストしたところ、内輪の話も含めていろいろ教えてもらえて助かった。とりあえず次に試すことが見えてきた。こういうのはお互い様なので、やはり人には親切にしなければいけない。
今週の前半は「小松左京自伝」を読んでいた。
- 作者: 小松左京
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 単行本
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「日本沈没」や「さよならジュピター」に夢中になったつもりだったが、それは本の一面に過ぎず、小松左京の守備範囲はもっとずっと広いということがよくわかった。科学と実存、人類と宇宙の進化、芸道小説、historical if小説など、未読のものが沢山あった。
それにしても、小松左京が大学時代に共産党員でバリバリにやっていたとは知らなかった。戦争を知った世代が、核時代に平和を求める気持はそれだけ切実だったということだろうとは想像できるが、小松左京は多面体だった。