エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

のぼうの城

のぼうの城」は値段(1575円)分は十分楽しめる時代小説。

のぼうの城

のぼうの城

豊臣秀吉の北条攻めの際に、ただひとつ落城しなかった忍城石田三成が戦下手という評価が固まった城攻めという知識しかなかったが、和田竜は歴史上の無名人を縦横無尽に動かして盛り上げてみせる。

元は脚本だったらしい。そのせいだろう、ところどころに映画にしたいようないい場面がでてくる。一方で人物の性格付けがくっきりとしているためか、筆がのっていたころの宮城谷昌光のように人物の香気が通ってくるところまではこない。文章表現はたとえば藤沢周平にはまだまだ及ばない。にもかかわらずお話としての良さがストレートに伝わってくるいい本だ。

来週はカリフォルニア・モントレーでの学会出張。発表のネタが古いので、いろいろ自分にいいわけしながらポスターを作成。これで準備はほぼ終わり。モントレーの海岸沿いの会場らしいので、眺めが楽しみ。向こうが見えない大洋から打ち寄せる波を見ていると見飽きない。