エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

神経科学には新しいモデルが必要なのか

この季節、小学生の長男は扇風機がないと眠れない。お父さんはクーラー派。ということで、当分は毎晩のように調整や小細工が必要になる。


Brain Science Podcastでたまたま紹介を聞いていた"Memory and Computational Brain"がなかなか面白そうなので早速に注文。

Memory and the Computational Brain: Why Cognitive Science will Transform Neuroscience (Blackwell/Maryland Lectures in Language and Cognition)

Memory and the Computational Brain: Why Cognitive Science will Transform Neuroscience (Blackwell/Maryland Lectures in Language and Cognition)

現在の神経機能を説明する有力な枠組みになっているassociative theoriesおよび neural netには実験的に反例があげられる(アリでも推測航法ができるし、記憶は経験一度で成立する)。したがって、神経機能にはcomputation and information theoryの中核概念であるread/write memoryを組み込んだ新しいモデルが必要である、という主張だ。

気になるのは、Podcastでは簡単にしか触れられていないが、synaptic weight approachにも疑問を呈しているということなので、そこだけでも目を通してみたい。

神経科学には、分子生物学におけるDNA二重ラセンに相当する、基本要素がまだ見出されないまま埋もれているという著者の一人C. R. Gallistelの発言は魅力的だ。