エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

金融危機と世間知

この1週間の株価暴落は歴史に残るのだろう、と思いながら8時からのNHKスペシャルを見はじめた。

わが家のささやかな資産も今回の金融危機で1/4がどこかに行ってしまった。わが家の資産管理は私がやっているので、「状況はつかんでおかんとな」という気持で、子どもが見ていた動物番組からチャンネルを換えさせてNHKスペシャルを見た。

・この1年での日本の株価の下落率は52%か。すごいな。
・金融資産が実体経済の4倍もあったらさすがにあぶないよな。
・ディーラーが短期の成績のみを問われて、30倍ものレバレッジをきかせていたらあぶないよな。
・今回の金融危機の直接的な原因は、証券化を複雑にしすぎてどこにどれだけのリスクがあるのかわからなくなったことなわけだ。
・世界的な好景気の実体がアメリカ国民がじゃんじゃん借金をして家を買い、中国製品を買うという1点にかかっていたことが今回の金融危機の背景なわけだ。
・今日のG7の合意は要するに、責任者の追及(モラルハザード)はとりあえず棚上げにして、目の前の金融危機を何とかしようということなわけだ。

とりあえずモラルハザードは棚上げにしようというのはわかるが、長期的に大事なのは、金融や経済は好きなようにさせてはだめで、金融や経済を哲学なり社会倫理なりに服従させる形にしないといけないのではないかと思う。

アメリカは工業→サービスときて、金融を立国の柱にしたのがこの十数年のできごとで、その結果としてこの危機を招き、国力の大きな衰退が急速に進むだろう。そういう衰退はこれまでにもいろいろあったわけだが、今後の展開はどうなるのかはかなり不安だ。

今日読んだ「確率的発想法」は、数理に置き換えることで、世間知のレベルを超えて思考を展開できることを強調していたが、逆に世間知を磨くことの方がこの金融危機後の世界をまっとうに生きていくためには大事なのだろうという気がする。