エヌ氏の成長・円錐

小胞輸送研究をはじめて18年めの分子神経科学者の日々雑感

文学

村上春樹の3冊

よく晴れた一日で風も穏やか。今夜も大きな月が楽しめそう。 個人的には2017年の小説No. 1は村上春樹の「騎士団長殺し」だった。こういう内容の作品なのに読んでいる間に整った気持ちになるというのはずいぶん珍しい。いい絵と同じだと思うが、読んでいると…

書き手としての「暗いトンネル」

昨日、紀伊国屋に行って村上春樹の新刊を買って読んだ。十分楽しく読んだが、感想を書けるほど頭が整理できていないので、川上未映子の「すべて真夜中の恋人たち」について書いてみる。すべて真夜中の恋人たち作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日…

列島融解

研究所へと続く道の左手の花水木(たぶん)が花をつけている。裏手の枝垂桜も満開。ただし今日は花曇にしても肌寒い。 濱嘉之の「列島融解」を読む。列島融解作者: 濱嘉之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/03/16メディア: 単行本 クリック: 1回この商品…

池澤夏樹の共鳴

久しぶりに出町柳の駅で降りる。鴨川べりの桜はまだ3、4分咲きほど。風が少し冷たい。 池澤夏樹の「氷山の南」を読む。氷山の南作者: 池澤夏樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (25…

降霊会の夜

ホワイトデーのクッキーを買いに近くの店へ出かけてぶらぶらしていたら、あるお菓子やで子供達の名前をつなげたブランドが出ていて即購入する。 浅田次郎の「降霊会の夜」を読む。降霊会の夜作者: 浅田次郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2012/03メデ…

雑文集

火曜日からしばらく外国のお客さんがラボに滞在するので、ホームパーティー用にネットで少しいいイタリアワインを注文する。知り合いの先生から「彼はナイスガイだ」と聞いてはいるがどうなることやら。 村上春樹の「雑文集」を読む。村上春樹 雑文集作者: …

マイルズ・デイヴィス

昼食を食べてくつろいでいたら、28年ぶりに高校時代の友人から電話が入り、いろいろ話す。 村上春樹の「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」を読む。夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/09/29メ…

萩の花と新リア王

この連休は萩の花が見ごろである。うちの狭小な庭も今はそのおかげで寂びた華やかさがある。 高村薫の「新リア王」を読む。新リア王 上作者: 高村薫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/10/26メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 59回この商品を含むブログ…

博士論文公聴会

今日はFさんの博士論文公聴会。うちの研究科の公聴会はどんなものかと見に行ったら驚いた。きわめて厳しい審査だった。O大では、「指導教員がいいと言っているのだから問題ないでしょう」程度のゆるーい審査だったが、今日の審査会はびしびしえぐい質問(い…

そして山羊があらわれる、羊ではなく

3週間ぶりに座禅会に行ったら、途中から雨が激しく降り出した。雨音に集中していると、視界が自然に狭くなって集中しやすくなる。人によってはリズムが気持ちが良くてそのまま眠りに誘われることもあるらしい。座禅が終わってもまだ本降りだったので、雨宿…

奇想天外・英文学講義

高山宏の「奇想天外・英文学講義」を読む。奇想天外・英文学講義―シェイクスピアから「ホームズ」へ (講談社選書メチエ)作者: 高山宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/10メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (19件) を見る高山本を読む…

猫を抱いて象と泳ぐ

昨日、今日と晴れて寒い。上の子にプレゼントされた晴雨計によれば今日はこのまま晴が続くらしい。小川洋子の「猫を抱いて象と泳ぐ」を読んだ。猫を抱いて象と泳ぐ作者: 小川洋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/01/09メディア: 単行本購入: 5人 クリ…

日本語が亡びるとき

先週の神戸の学会での発表で一区切りつき、学生のGさんと今後の方針を1時間くらいかけてじっくり話す。話は半分くらいできたが、もうふた山はありそうだと話す。結構頑張りがきく子なので、このまま投稿まで無事にいってくれるといいのだが。この辺りからが…

出星前夜

連休は本屋にいったり散歩をしたりでゆっくり過ごした。昨日四条河原町のジュンク堂で買ってきた本はこの三冊。 「出星前夜」飯嶋和一 「坊主のぼやき」川西蘭 「フリーランチの時代」小川一水出星前夜作者: 飯嶋和一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/08…

理研BSI訪問

月曜火曜と東京に出張。4時くらいになると京都よりは随分涼しくて動きやすい。月曜日は和光市の理研BSIに先輩のO先生を訪ねた。今いっしょに仕事をしている学生さんは脳をやりたいとは思っているが、脳の何をやりたいのかイメージできないと言う。そういう…

非正規レジスタンス

夕立が来た。雨上がりの道路を自転車で帰る。湯気が立ちそうな暑さだ。石田衣良の「非正規レジスタンス」を読む。非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク〈8〉作者: 石田衣良出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/07メディア: 単行本購入: 1人 クリ…

傷だらけの天使

ゆっくり夏を過ごすつもりだったのに、何だかあれこれ係わり合いが増えて予定表が埋まっていく。とにかく自然体でやれることをやろうと思う。今日は6:15から百周年記念館で福岡伸一氏の講演を聞く。つかみはなかなか考え込ませるいい話だったのに、本論は「…

鱧と井上靖

梅雨が空けて、山鉾巡行も終わった。とうとう暑い夏がやってきた。今年の夏も長くなりそうだ。夏が来ると一度くらいは鱧を食べなければすまないのだが、さて今年はどこで食べたものか。お手軽に済ますのならば、実は生協食堂でも出してくれるのだが、それも…

ポジ・スパイラル

6年使ってきたノートPCがついに絶不調になった。これで学会のトークをするのはさすがに怖くなってきたので、思い切ってレッツノートを購入。26万5千円なり。DellやDynabookならば10万円近く安く買えるので悩ましいところだが、あの軽さは何よりの魅力…

井上靖のことを想う

京都は井上靖が長い大学生活を送った町である。最近は井上靖を読む人がいるのかどうか。私にとって井上靖は、人の心に詩が住んでいるということを分からせてくれた人だ。人の世に住むのに倦んだときに、井上靖の小説はふさわしい。広く知られているとは思わ…

のぼうの城

「のぼうの城」は値段(1575円)分は十分楽しめる時代小説。のぼうの城作者: 和田竜出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/11/28メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 186回この商品を含むブログ (371件) を見る豊臣秀吉の北条攻めの際に、ただひとつ落城しな…

長射程の告発

医療ミステリーという分野がある。ときどき読む。誰かのブログで薦められて読んだのが、久坂部羊の「破裂」だ。破裂作者: 久坂部羊出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2004/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 37回この商品を含むブログ (68件) を見る現役…